君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ9)

今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:51,648 hit

8話ページ9

8話
side薫

あんず「はっきり言って迷惑ですのでやめてください」

ハッキリとした物言いにさすがにショックだった。
女の子に拒否されることって案外今までなかったのに。

あんず「…後、誰かの代わりにしようだなんて思わないでください」
薫「へ？」
あんず「…私、知ってましたよ？羽風先輩がA先輩のこと好きだって」
薫「あ、あはは…知ってたんだ」
あんず「分かりますよ。A先輩といる時の表情、とても素敵ですから」
薫「…そう見えた？…」
あんず「はい。…どうしてそばにいないんです？」

俺は、とぼとぼと話をした。
Aちゃんの婚約の話。
泣いてた時の話。
……失恋した、話。

あんず「…恋愛と言うものはよく分かりませんが、羽風先輩は考えすぎかと」
薫「あ、そう見えちゃう？」

簡単に言ってくれるねぇ。

あんず「A先輩が婚約を決めたのには理由があると思いますし、羽風先輩にはそれを聞くだけの理由は十分あるように見えますから…。やっぱりもう一度話をすべきだとは思います。私が間に入るのもいいですがかえって、誤解を招きそうな気がします。…A先輩はそんな感じの人なので」

俺よりあの子のことわかってるんじゃないこの子？

薫「…話せるかなぁ」
あんず「話せますよ」
薫「でも、姫宮くんが近くにいるから…」
あんず「話せる環境を作れば問題ありませんね？」
薫「え？」
あんず「今回、UNDEADの新衣装をA先輩に任せています。それ繋がりで、卑怯な手ですが話せる環境を整えてみせます」
薫「あ、あんずちゃん…！」
あんず「任せてください。それくらいのことはやってのけますので！」

あんずちゃんがかなり頼もしく見えた。

(……話をしよう…Aちゃん…)

次はちゃんと……逃げないから。