【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#45 ページ46

「……っ」


　現在、Aはヨシノの片腕に引きずられる形で移動していた。FBI達の動向を確認するためか、常に進行方向の反対側を向いている。

　……大丈夫。キャメルさんは初めて会った時に防弾チョッキを着てたから、犯人の身柄確保に来た今も装着してるはず。大事に至ってないことを祈ろう。

　今真っ先に考えるべきは、どうやって昴さんが狙撃できる環境にするか。


「(フロアの中心に向かってる。やっぱ階段で下に降りるつもりなんだ……)」


　暗闇に慣れた目のお陰で辛うじて物陰や柱の位置はわかっていた。あとは照明の代わりの閃光弾でもあれば──ん、待てよ覚えがあるな！？それもついこないだ！！

　昴さんと2人で目の当たりにした花火のような光。爆撃と見間違えるくらいには眩しくて、盛大にビビり散らかしたのをよく覚えてる。
　きっと博士の新しい発明品だ！ボールだったら例のベルトに搭載されているはず。例のメガネでこっちを見てるコナンくんが、それを使ってくるとすれば……！


「(──私に出来ることは、これしかない！)」


──


「ねえ、犯人さん」
「……あ？」


　浅草スカイコートの位置を覚えていたAは、丁度それが視界に入ったタイミングを狙って口を開いた。


「私命の恩人がいるんです。その人も狙撃手なんですって」


　この女、この状況で突然何を言い出すんだ？
　当然疑問に思ったが、ヨシノにとって自分の境遇と似た話には自然と関心が向いた。


「でもあの人は、人を殺す為じゃなくて人を助ける為にライフルを持ってるんですよ。貴方達と違って」
「……テメェ今なんつった？」
「あれ、言ってる意味分かりませんか」


　Aはヨシノのどす黒い怒りが籠った声に臆すどころか、明らかに小馬鹿にした笑みを含ませていた。


「分からないならハッキリ言ってやりますよ。経緯はどうであろうと、アンタ達は復讐の為に他の人を傷つけるのを何とも思わない、銀星章(シルバースター)の資格を自分からドブに捨てた最低の人間なんだって！！」
「この女ァッ、よくも……！！」


　怒りの核心に触れ、マシンガンの銃身がAめがけて振り下ろされた。

　──ゴッ！！

　Aの頭部から鈍い音がした。少し離れた位置まで飛ばされた後、どさりと倒れる。ヨシノは荒い息を漏らしながら、コツコツと歩み寄った。


「う……」
「(ぶっ殺す……ぶっ殺す！！)」



　わざわざ人質をとった意味も忘れ、怒りに任せたままマシンガンを握りしめる。
　そうして、力なく倒れ込んだままのAに銃口を向けた。

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