【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#31 ページ32

「ただいま！」


　花束を抱えて真純ちゃんの病室に戻れば、二人が「おかえりー」とこちらを振り返った。


「わあ、昴さんに花束もらったの！？すっごい綺麗〜」
「アンタ──やるじゃないの」
「(何をよ？？)え〜〜と花瓶ってどっかにあるかな」


　澄ましたポーズで肩ポンしてきた園子を華麗に無視(スルー)しつつ、キョロキョロ辺りを見回す。とりあえず花を花瓶に入れようと思ったけど、室内には見当たらなかった。
　取り敢えず窓際の置き場に置いておこうと思い回り込むと、不意にベッドの中からうめき声が。


「ん──秀、兄」
「(！？！？)」


　振り返ってベッドを見ると、真純ちゃんが再びすうすうと寝息を立てている。


「今……“シュウニイ”って言ってた？お兄さんのことかな」
「そ、そそそそうじゃない？？前に“死んだ兄が”って言ってたし」


　声が震えてたのは個人的(故人的)な知り合いの名前が唐突に出てきたから。シュウニイって、もしかしなくても“秀兄”だよね？


「(真純ちゃん、秀さんのことそうやって呼んでるんだ……可愛いな……)」
「どしたのA。花瓶借りて来たよ？」
「アッ何でもないよ、ありがと！」


　花瓶を蘭から受け取り、窓際に運ぶ。それを見た蘭が「あれ？」と首をかしげた。


「お花、ここに置くの？Aの病室じゃなくて」
「？うん」


　だってこっちに飾る方が絶対いいでしょ？秀さん、真純ちゃんのお見舞いしたかっただろうし、お花くらいはね。
　そう考えながらなんの躊躇もなく花瓶に花を挿した。


「A〜アンタ何ッにも分かってないのね……」
「はて？」
「昴さんがアンタ(恋人)に向けて渡した花束よ！？フツー平気で他の子の部屋に飾る！？」
「……ｱｯ」


　うっっわそういうこと！？迂闊過ぎるにも程があったわ！！


「いやホラ、わ、私すぐ退院するからお花がもったいなくてね！？だから真純ちゃんのとこに飾った方がいいと思ったんだよ！！」
「ふーーん」


　必死になって取り繕うも、あんまり響いてない。そりゃフツーに考えたら薄情な女と思われても仕方がないけども！！


「昴さんから貰った物が嬉しくないとかどうでもいいとか、そういう気持ちはホントにないから！ねっ！？」
「罪な女ね……」
「違ぁーうッ！！」


　窓辺に立ったまま、必死になって否定するA。丁度車に乗ろうとしていた沖矢はふと見えたその光景に対し、疑問符を浮かべていた。


「(……何をしてるんだあいつは……)」


(神崎さァん……自分のお部屋に戻れと何度言えば……？)
(ヒェ)

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