#26 ページ27
「っ、」
足元に赤い光がチラついたと思った矢先。自分の視界ががくんと揺れ、傘を落とした。
「──い、ったぁ……」
「A!!」
ズルズルと柵に背中を預けて座り込めば、目を丸くしたコナンくんが私の方へ駆け寄る。いつもだったら大声で「大丈夫」と返すところだけど……流石に今は無理。痛くてまともに喋れない。
「(っでも、当たったのは片脚だけだし……)」
痛みに思考を邪魔されながらも、努めて冷静に考える。標的が逸れれば、それだけ時間が稼げる。Aは自分が被弾した事で状況が改善したかと思ったが、それでも列車はまだ橋を渡りきってはいなかった。
──パァンッ!
耳を
「(……標的の前に“邪魔者”から片付けようっての?)]
これ以上、鉛玉になんか当たってやるもんか。
車を睨むと、ころ、ころと動く自分の傘が視界に入った。風で転がっていったそれは、Aの手から少し離れている。
「コナンくん、傘、」
「っ……動くんじゃねえ!すぐに止血しねえと」
視界の端に映る脚は確かに血みどろだった。太めの血管切れちゃったのかな。と他人事のように考えながら、少し顔をあげた。
「(……あ、)」
コナンの頭部にレーザーサイトの光が当てられているのが嫌でも目に入った。
嘘でしょ、この状況下で私でもターゲットでもなく、わざわざ子供を狙うって……このままじゃコナンくんが……!
「わ、たしはいいから、早く逃げ、」
「無理に喋るな、じっとしてろ!」
「(いやいやいや私よりも後ろ見ろやアホ!)」
なんとか声を出そうとしたが、言葉どころか、呼吸一つすらままならない。コナンはAの処置に必死で、レーザーサイトに気づく気配もない。
大量の出血のせいか、目の前が段々と霞んでいく。
「Aっ!コナン君──危ない!!」
ぼんやり聞こえた世良の声を最後に、Aは糸が切れたように意識を閉ざした。
──
「──っ?」
パチリと目を開けると、白い壁に白い天井。辺りには薬品の匂い。飛び起きて辺りを見回した。
どこだここ。撃たれたし、病院?あの後の犯人はどうなったの?あとなんでもう夕方?さっき昼前だったよね??
「(コナンくんと真純ちゃんもいるのかな)」
シーツをひっぺがし包帯でぐるぐる巻きになった片脚を引きずりながら、ベッドから降りた。
(よっしゃ、探すか!)
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夜鷹紫苑 - すげぇ、返しがプロってる (5月18日 1時) (レス) id: ae0632c942 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - やよい@サブ垢さん» 心停止報告大変助かりますありがとう安らかに…… (2021年11月30日 3時) (レス) id: a531cb8ac0 (このIDを非表示/違反報告)
やよい@サブ垢(プロフ) - ヴッ………(心肺停止)好きすぎて軽く鼻血が……(((( (2021年11月29日 21時) (レス) id: bc461f0e02 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - うさぎはっちさん» お疲れ様ですありがとうございます!ギャグだから許される文法なのでよく使ってますね!わかる人がニヤ…する程度でチマチマ小ネタ挟んでるので気づいてもらえると仕込んだ側としてもニヤリしちゃいますね…(私の全部受け止めて…) (2021年10月30日 1時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - たこやきさん» したり、でも公式台詞コピペはなるべく避けたかったので「まあギャグだし多少はええやろ」という傲慢な暴走含めておりますが本当に楽しいです。エッ イチバン 言質取っていいですか??(ボイスレコーダーを構える絵文字) クソ長キモリプ大変失礼致しました感謝…! (2021年10月30日 1時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2021年7月26日 19時