【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#25:4件目 ページ26

「(い、一体何が？)」


　真純ちゃんに動くなと言われた以上、追いかける訳にもいかない。颯爽と走り出したバイクとスケボーを見送り、私は橋の通路ド真ん中で立ち尽くす。
　すると奥の鉄橋から特急列車が渡ってきた。徐行を始め、ゆっくりと駅に向かっていく。嫌な予感がして傘を握りしめた。


「(もしかして、ターゲットはあの列車に──)」


　Aの思考を遮るように背後から微かにパッパー、と言う音が聞こえてきた。それも立て続けに、何度も。

　振り返れば奥の青い橋の中心に停車した車が一台。周囲の車はクラクションを鳴らしながらそれを追い抜いていた。
　直後、自分の背後の車道をスケボーに乗る子供が爆走して煙が巻き上がる。


「？」
「行っけえええ！！」
「？？？」


　聞き覚えのある大声が響いた。
　吹っ飛ばしたらしいスケートボードは空中を舞った後、街灯に勢いよく衝突。即座に投げられたベルトが街灯に引っ掛かれば、たちまち巨大なサッカーボール(いつもの)が出現した。


「ねえちょっ、コナンくんどーしたの！？浅草駅は！？」
「徐行中に狙われる！！」
「ハイ！？」
「橋を通過するまで狙撃を妨害するんだ！」


　全くもって理解が追いつかないまま駆け寄ってみれば、思いもよらない言葉が返ってくるので余計脳内がパニックになった。
　車道から駆け寄ってきた巨大サッカーボールを出現させた張本人は、歩道の柵に飛び乗って叫び出した。


「オ〜イッ！！こっちだ！！」
「(待って？ここで狙撃の妨害ってことは、)」


　すぐ後ろに、犯人がいることになる。
　もしかして後ろの橋で路駐してた車から！？なら現在絶賛目をつけられてる真っ最中……これじゃ、コナンくんが狙われる！


「(……っそうだ、傘！！)」


　咄嗟に柵を飛び越えた。傘を開き、柵に飛び乗ったAはコナンの背を覆うように構える。
　Aは、何かを覚悟したかのような強ばった表情をしていた。

──

「……！」


　スコープ越しに現れた少女と子供。慌ただしく言葉を掛け合っているように見えるが、普通に考えれば指示をしてるのは少女の方に違いない。

　間もなく少女は傘を広げ、子供と列車を視界から遮る。
　つまり、自分の邪魔をしていることになる。一人目の時も、二人目の時も……そして今、この時も！！


「──」


　腸が煮えくり返るような怒りを抱きながらライフルにレーザーサイトを取り付ける。
　そして、Aに向けて真っ直ぐと銃口を向けた。

#26→←#24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す