Prolog ~名探偵コナン~

闇の中の優しさ【ジン】 ページ1

___綺麗な髪色だ…



そう思った私は、自分でも気づかないうちにそっと近寄り、その綺麗な長い髪の毛に手を伸ばしていた。


｢ｯ…、誰だテメェ｣


あともう少しで触れる、という時にその髪の持ち主が銃を構えて振り向いた。


『…すごく、綺麗な髪の毛だな、って』


不思議と、怖くはなかった。…それどころか、久々にちゃんと心の底から笑えた気がした。


｢…俺の髪？……お前の髪の方が綺麗じゃねぇか｣


『……ありがとう。でも私の色は汚いの。いろんな色が混ざりすぎて黒くなっただけよ』



___アンタさえ生まれて来なければ…ｯ


___なんで生きてんの？


___……嘘つき。大っ嫌い！！！！




あぁ。やめろ。とまれ。感情なんて捨ててしまえ。無になれ。



｢…なぁ、お前…俺んとこ来ねぇか？｣


『っ、え…？』


｢その髪と瞳、気に入った。｣




___きったねぇ瞳で見んじゃねぇよ。こっちまで穢れんだろ。


___あんたの髪気に入らなーい。…あ、むしり取っちゃおっか？



『い、いの…？』


｢俺がいいっつってんだからいいだろ。…ほら。｣






__彼の握ってくれた手はとても優しくて。



___初めて触れた人の優しさに涙がこぼれて。



『っ、う…、あ、りが…と…ｯ』


｢…ｯ、あぁ。｣




きっと。貴方と出会ってしまったことが。






___幸せと後悔の始まりだったんだ。

闇を覆う光の謎【降谷零】→

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