【僕だけが】unforgettable【愛してた】

後悔した１２３ ページ6

あなたside


あ「よしよし」


さらさらそうな髪は、
本当にさらさらだった。


流石天下五剣と言うべきか

隅から隅まで綺麗なんだな。


三「...優しいのだな、柘榴は」


三日月の小さな呟きが、俺の身体に
染み渡るように広がった。

小さく震える肩に、
握りしめられた掌に、

「こんな一面もあるんだな」と

新しい顔が見れて嬉しい気もする。



なんて呑気に考えていたら、


泣きそうな瞳と目が合った。


三「勘違いなんかじゃないさ..」


はらはらと落ちる涙は、その一滴さえ綺麗で。

きっと
こんなに綺麗な涙、俺には流せない。



三「ずっと前から、こうありたかった」


「すまない」「ありがとう」と紡がれた言葉は
俺の身体をじんわりと暖かくしていく。


今まで、誰一人として俺を見てくれていないと
そう思っていた。

それが、有難いことに外れていたんだ。


あ「俺も、お前の名前
呼んでみたかったんだよな」

三「今、なんと」




あ「俺は母さんみたいに優しくないし、素直じゃないし...それに頭も悪い。

ここの奴らが俺を選んでくれなかったのも、
俺がダメな人間だからなのかも知れない。

でもいいや、二人がいてくれれば。」


少しだけ強がりが混ざった言葉

でも、伝えたい言葉。


あ「これからよろしくな、" 宗近 "」



.



くしゃっと頭を撫でてやると、

桜の花びらがひらりと舞った。

後悔した１２４→←後悔した１２２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す