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コートの外のベンチに座りながら越前リョーマの姿を眺める。
手を振ると、彼はいつもの様に笑って返してくれる。
そんな姿に見とれていると、隣から声がかかった。
「Aが越前リョーマにときめいている確率100%…」
「いつの間に…!やめてくださいよ!恥ずかしいじゃないですか!」
声を上げると乾先輩は「やはりな」とニヤリと笑った。そして、ノートにガリガリと私のデータをとっていく。その姿に思わず口元がひきつってしまう。
コートに目を戻すとそこにもうリョーマくんの姿はなかった。
あれ、どこいったんだろう。
乾先輩に彼の居場所を聞こうとすると、先輩が口を開き、こちらに手を伸ばしてくる。
「お前は本当に何も知らないんだな」
その手は私の頭に向かって伸びてくる。
全身が震える。
怖くなって目をぎゅっと瞑ると大好きな彼の声が聞こえた。
「こいつ、俺のなんで」
手を引いて乾先輩から遠ざける。
リョーマくんが乾先輩を睨むと、彼は不気味に笑っていた。
そして私を引っ張って進んでいく。
その強引なところを見て少しだけ口角が上がってしまった。私は結構重症なのかもしれない。
助けてくれたのかな?それとも嫉妬してくれたのかな?
どっちにしても嬉しくて嬉しくて。
彼の手を強く握り返した。
「リョーマくん、ありがとう!」
そう言えば彼も嬉しそうにはにかんでくれた。
そんな毎日が大切で大好きだった。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2019年4月14日 23時