あんたの笑顔が。【越前リョーマ】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:30,583 hit

〇ページ9

自動販売機でPontaを買う。
グレープ味とオレンジ味を両手にもって走る。

ベンチに座っている彼を見つけるとそこに駆け寄り、隣に座る。

「リョーマくん！試合、お疲れ様！」

彼の手にグレープ味を渡すと嬉しそうに笑って「サンキュ」といった。

その笑顔を見て私の頬も緩む。

あの日から私は部活を退部した。
部長や、先輩に止められたけど、何よりも彼のそばにいたいから。

彼を横目で見る。
幸せそうにそれを、飲む姿が可愛くてクスクスと笑ってしまった。
リョーマくんの頭にはてなが浮かぶ。

「半分こする？」

「するー！」

そういう風に見てたわけじゃないんだけどな。両方の味が楽しめるし、結果オーライだ。

口に含むと、グレープがぱちぱちと弾ける感覚がした。
うん、美味しい。

「私、今すごく幸せかもしれない。」

「そう」

「反応うっす！」

クールぶって生意気だな、なんて思いながら口元を見るとニヤケを抑えるためか、ピクピクと震えている。
ふふ、そう言いながら嬉しいんだ。
可愛いやつ。

再びPontaを口にすると、彼が口を開く。

「ごめん」

小さく呟く。それは何に対してのごめんなのか全然わかんない。けど、悲しそうな顔してるから彼に抱きついてみる。ギュッと抱き返してくれたのが嬉しくて心がポカポカとした。

「これからもずっとそばにいてよね」

そんなの当たり前じゃん。
そう思いながら彼の目を見る。

「うん！ずっとだよ！」

そうやって笑えば彼は私の頬をそっと手で包んでキスを落とした。