あんたの笑顔が。【越前リョーマ】 (ページ7)

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廊下に立ち止まっていると、肩に手がおかれた。
全身震える。誰かと思い振り返るとそこには越前リョーマの姿。彼はびっくりした顔をしたあと真剣な顔になる。

「…どうしたの？」

彼に手を掴まれる。
その手を振り払いたくて仕方がなかった。

「着いてきて」

離してと言っても完全に無視する。イヤイヤ連れていかれると校舎裏の大きな木の麓についた。

大きな瞳で彼がこちらを真っ直ぐと見る。

「何かあった？」

ドキリと心臓が飛び上がったきがした。
目をそらすと、彼は私の肩を掴む。

なにかされる？
怖くなり目の前が暗くなる。
嫌だと訴えると彼は私を抱きしめた。

「大丈夫だから」

そう言われながら背中を撫でられる。
その感覚が優しくて、それなのに振り払いたくて。

助けてくれた彼でさえ、怖くて仕方がない。

「怖い、みんなが怖い」

そう言えばさらに強く、でも優しく抱きしめてくれた。目の周りが熱くなる。
あぁ、泣いてしまった。
それが悔しくてさらに涙が溢れる。
止まれと思ってもそれが収まることは無かった。

「俺が全部受け止めるから、何も心配しなくていいから」

この人はなんでこんなに優しいのか。
わからなかった。どうしてこんなに暖かいのかわからなかった。

「私はあなたのことが嫌いなのに」

「うん」

「大嫌いなのに！」

「うん」

「それなのになんでそんなに優しくするの…」

彼は私を抱きしめるのをやめると私の目をじっと見つめる。真剣な目に思わず逸らすと、手で頬を抑えられる。
逸らしたくても逸らせない状態になる。

「わかんないの？」

「うん」と言えば彼はひとつのため息をついた。もしかしたら呆れられたのかもしれない。

「Aのことが好きだから。」