孤独。【チェンソーマン】 (ページ4)

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早「降りろ」

着いたのは、アパートらしき所

今日からここで暮らすのか

早「無いとは思うが、あまり騒ぐなよ。近隣の迷惑になる」

『分かった』

ジャケットを被りながら、アキについていく

早「手、洗ってこい」

洗面所に連れて行かれ、タオルを渡される
アキがどこかに行ったのを確認してから、黒い手袋を外す

冷たい水が、手の感覚を奪っていく

ふわふわのタオルで手を拭いて、また手袋をつけた

リビングに行くと、台所で何か作っているようだった

『何作ってるの』

早「昼ごはん。今日は非番だから。危ないから向こう行っとけ」

アナウンサーの声が聞こえてくる

＜ご家族でどこに行かれるのですか？＞

＜ハワイです。主人がGW中お休みなので、家族皆で＞

＜それはいいですね。楽しみ？＞

＜楽しみ！！＞

いいなぁ
家族仲良く、海外旅行

私には縁のないこと

ずっと、デビルハンターから逃げる毎日で楽しみなんか一つもなかった
捕まってからも、人間は皆私を嫌な目で見てくる

悪魔だからしょうがないけど、やっぱり寂しいものは寂しい

ゴロン、と寝っ転がって自分の手を見つめる

この手さえ無ければ、自分が”孤独の悪魔”じゃなければ、もっと変わってたのかな

早「何してるんだ」

『…別に』

早「ご飯出来たから座れ」

ちゃぶ台に置かれたのはカレー

『料理、出来るんだね』

早「俺を何だと思ってる。さっさと食え」

『頂きます』

スプーンで、熱々のカレーを掬う
匂いを嗅いだが、毒が入っている様子はない

早「…何してるんだ？」

『…前に一回、ご飯の中に毒を入れて私を殺そうとしてきた人がいたから』

早「毒は入れてない。早く食え」

カレーを口の中に入れる

熱い、辛い、でも美味しい

美味しい、温かい

こんな美味しいご飯、初めて食べた

早「はっ！？なんで泣いてるんだ！？」

『こんな美味しいご飯初めて食べたぁぁ……！！』

この人は私を殺そうとしない
それが嬉しくて、涙が止まらない

早「まだ残ってるから、ゆっくり食え。喉詰めんぞ」

泣きながら食べるご飯は、少し塩気がしたけどそれに勝るぐらい美味しかった

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