【BL】夫がイケメンで心臓もたない。(白目)【名前変換オリジナル】

五四 ページ4

「よく、やったよ信行殿。ッ…アンタは十分強い人間だ…！』

ギリギリだった。俺が少しでも遅ければ間に合わなかった。

「…邪魔だ。貴様、退けろ…」

「退けねぇよ。なぁ、信長。そんなツラするならこんな哀しい戦(喧嘩)やめようぜ」

さっきまで戦っていた、信長軍の足軽や犬千代、蘭丸、秀吉は目を伏せて刀を下ろした。

「…！」

「俺は、そんな淋しい顔をする大うつけに惚れた覚えはない。一緒に生きてぇなら、やり直せばいい。生きて償えばいい」

重く押し付けられていた刀が次第に弱くなる。俺は、刀を鞘に収めた。

「っう…く、ぅ…っ僕の負けです…僕は…僕はっ…！」

俺は、声を押し殺して涙を流す信行殿の前に片膝をついた。

「信行殿。荒川が言う世では、答えを間違ったら反省して、また戻ってこれるらしい。アンタもきっとできる」

俺は、立ち上がり手を差し出そうとしたとき、耳に三度銃声が響いた。

「信行ッ！」

「信行様！！」

目の前で、自軍の兵の種子島を浴び吐血した信行殿が横たわった。

「ふざけるな、我等はアンタの言う通りに戦い続け、数え切れない兵を犠牲にしたというのに…！そんな男の話がなんだ…！我等の仲間は何の為に…！！」

そして、流れ弾が俺の脇腹に当たった。

「ッ…信行殿…」

自分の血濡れた手を伸ばしたときには、信行殿の目は重く閉ざされていた。だが、笑っていた。
俺は、疲れ切った身体はすぐに倒れた。視界の端には鉄砲を持った兵達が取り押さえられている。

「A！」

霞んだ視界に一番に入ってきたのは信長だった。
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気づくと周りは炎に包まれていた。

「なんだ、…これ…？信長は…？」

「…帰蝶様…？帰蝶様！早くお逃げ下さい！」

「…え？」

ぐっと腕を引かれて何処かへ連れて行かれる。ソイツの顔はよく見えなかった。
どこかの部屋の前で立ち止まると、俺の腕を引いたかと思えば首に短刀を突きつけられていた。

「A…！光秀！！」

目の先には白い着物を纏った信長が座っていた。
声が出なかった。

「信長！貴様が死ねばコイツは生かしてやる。コイツを殺せば貴様も死ぬ。どちらを選ぶ」

「…！！」

そんなの誰だって自分を犠牲にするだろ。俺は嫌な予感しかしなかった。
でも、気づいたんだ。


これは夢で、


俺は今、本能寺の変が起こった本能寺にいる。

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