検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:45,980 hit

03.無愛想な少年 ページ5

「……よし、片付いた」

ふぅ、と一息つく。足元にはぐったりとした三人の男たち。もちろん死んではない。ちょっと意識を失ってるだけ。

とはいえ、やりすぎちゃったかな……

これでも小学校の時まで空手をやってたし、今でもそれなりに鍛えているから、普通の人よりか喧嘩は強いはず。もう少し加減してあげても良かったかもしれない。全力だと殴る方も疲れるしね……実際俺は疲れてる……

あ。そうだ、あの少年は……

キョロキョロと辺りを見ると、少年は最初にいた隅の方で、俯いて座り込んでいた。相当痛かったんだろう。殴られた頰は赤く晴れている。

「ねぇ君、怪我したんじゃないの。立てる?」

俺は少年に手を差し伸べてながら聞いた。

俺なりに優しくしたつもりだった。だから手を取るかと思ったのに……

少年は、俺の差し伸べた手を完全スルーして立ち上がり、そのまま歩いて行って、俺の横を通る時にボソッと、

「大丈夫、ありがと」

と、短く答えて去って行ってしまった。

俯いていて表情もわからないし、かろうじて高めなんだとわかる声も小さめで聞こえにくかった。

いや、いいんだよ。いいんだけどさ……

もう少し感謝してくれても良くない?! てか手、差し伸べたんだから手を取れよ! わかってる、親切にして何か返ってくるのを求めるのは良くないって。

けどさぁ! あんな態度なくない!? あんなさらっと、顔も見ずにありがたみ程度のお礼だけ言って去りやがって! 勝手にとはいえ一応助けてやったのに! 三人も相手にして疲れたのに!

しかもいきなりタメ口だよ?! 下級生だったら許さない!時間もなんかヤバイし!!本当にヤバイし!!

……なんて、心の中でヤバイと言いつつ全く時計を見ていなかった俺は、改めて腕時計を確認した。

……うわぁ、マジでヤバイ。

「…………走るか」

俺はどんよりとため息をついて走り出した。

04.幼馴染→←02.お片付け



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (161 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
99人がお気に入り
設定タグ:男子高校生 , 先輩×後輩 , オリジナル , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

くろヰ(プロフ) - みるくプリンさん» 返信、ものすごく遅れてしまって申し訳ありませんm(_ _)m一気読みしてくださってありがとうございます!しばらく続くと思うので待っていただけると嬉しいです! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 6ac2c500cb (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!すごく面白くて一気読みしました。更新楽しみに待ってますねっ(*^^*) (2019年8月13日 6時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろヰ(プロフ) - 霧雨量 文月さん» コメントありがとうございます!今後もお話に色々詰め込む予定なので楽しみにしていてください笑 更新頑張ります! (2019年7月19日 20時) (レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨量 文月 - めっちゃ面白いです!!これからの展開がとっても気になって仕方がありません!!更新頑張ってください!! (2019年7月19日 5時) (レス) id: 1995ceb10a (このIDを非表示/違反報告)
くろヰ(プロフ) - タチアナさん» コメントありがとうございます!面白いと思ってもらえるなんて...!すごく嬉しいです!更新頑張りますね(*^_^*) (2019年7月12日 22時) (レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くろヰ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hagemaru101/  
作成日時:2019年6月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。