【短編集】上弦＋αには妹弟がいるようです

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錆「有難う」




　
　頭を下げた少年に､陽は少し目を見開く｡






　今まで人間を助けても､感謝なんてされなかった。当然だ､自分たちはあの無惨の妹弟なのだから。






陽「どういたしまして！でもさ､珍しいね｡姉さんから聞いたと思うけど､僕達は鬼舞辻 無惨の妹弟なんだよ？怨みの対象の妹弟にお礼を言うなんて·········」



錆「例え鬼であろうとも､命の“恩人”だ。
恩を仇で返す様な真似は男らしくない」









　きっぱりと言ってのけた錆兎に､陽は思わず一瞬硬直した。









陽「·······っぷ､あはは！ 姉さん､この子凄く面白いよ！ 話してて気持ちいい」


優「そうでしょう？これからどんどん強くなるでしょうし､将来柱になってもおかしくない器ね」




錆「··········？」









　本人は何を褒められたのか自覚していないらしく､こてんと首を傾げる。


　
　




陽「もうそろそろ日の出だし､帰ろっか」



優「そうね。·············錆兎」




錆「なんだ？」






　再び優と陽､錆兎が向き合う。






優「その心を忘れずに､鍛練に励むこと」


陽「早く柱になって無惨(わかめ)を狩ってね！」









錆「··········ああ」








　その返事に満足したのか､2体は笑みを浮かべて琵琶の音と共に消えた。




　
　
　

　

　
　
　
　

　
　
　
　
　

　
　
　




　再び彼らに会うときまでに柱になろう｡





　救ってもらったこの命で､次へと繋いでいけるように·············｡





　
　
　
　

　
　
　
　

　
　
　
　



　錆兎が親友と共に水柱となるのは､もっと先のお話────────｡

　

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