137.意地 ページ8
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「はぁ、つまり成宮と付き合ったと」
『いや付き合ってないけど…』
そう真顔で言うと、真田が「は?」と言いたげな顔を向ける。
真田には話してしまった。「から元気の望月さん、御幸となんかあった?」と言われ、エスパーかこいつとか思いながら、全部全部。
「今の話、完全に成宮と付き合う流れだけど」
『いやいやいや。全く付き合ってないし』
「成宮は付き合った気になってんじゃねーの」
『それはない。……私は一也が好きだし』
そうつぶやくと、ついに真田が「はぁ?」と口を曲げて私を見た。
「お前まだ御幸が好きなの?」
『……………悪い?』
「あんなことまでされといて?…ありえねー。そういうのを盲目っていうんだと思うけど」
馬鹿にしたように笑いながら真田は言う。
ありえない、そんな表情で。
『……真田にはわかんないよ』
仕方ないじゃん
『私、中学の時から一也が好きで、ずーっと想い続けてようやく付き合えたんだよ?』
「でも振られてるじゃん。それも浮気」
『…浮気じゃない』
「どう聞いても浮気だから。事実は受け止めた方がいーと思うけど」
そう言いながらボールをいじり出す。
見事というか腐れ縁というか、真田とはずっと同じクラスだから、こうしてうちのクラスだけ早めに終わった時、2人だけで話すことが多い。
「…お前さぁ、中学ん時から御幸が好きなんだろ?」
『…それがどうしたの』
「中学も、高校も、ずーっとひとりの男が好きだと」
『…だったら何。重いとでも言いたいの?』
じとーっと睨むと、「そうじゃなくて、」と彼は言って、
「それ、本当に御幸が好きなの?」
『…は?』
「ただの意地なんじゃねーの?」
真田のその言葉に、私は言い返すことができなかった。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時