160.似合 ページ31
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お洒落なカフェに彼を呼び出した。
ジャージ姿のくせに、私よりよっぽどこの場所に似合う気がする。
他と違う雰囲気をまとった、なんでも持ってるひと。
『久しぶり、一也』
「…ここ、俺達が初めて一緒に出かけたとこじゃん」
「ありえねー、」そう言った一也に、『当たり前じゃん、』そう言って私は笑った。
『転んでただで起きると思うなよ、天才捕手』
私を振ってくれたこの男に、びしっと指差してそう言うと、彼は「あーはいはい」と言いながら、背の高い椅子に腰を下ろした。
「早く座れよ、…望月」
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『正直恨み殺そうかと思ったよね』
「最近やたら寒気がするかと思ったらそれかよ」
『あっはっは、怨念だよ、オンネン』
ふたつの飲み物。私のはホイップ山盛り、
一也のはシンプルなコーヒー。
初めて来た時と、同じ。
『…でもさぁ、私一也が好きだったからさぁ』
カップを両手で持ちながら、下を見ながら笑う。
『きっと高島さんにも、何か事情があって、ほっとけない事情があったんだろうなって。
高島さんにも、一也じゃなきゃいけない理由があったんだろうなって、必死で思い込ませてたんだ』
「…合ってるよ、それ」
『……………へぇ』
そうぼやいた彼に、私はふっと笑って言った。
『なにそれ超ムカつく』
「嫉妬ですか？可愛いねぇ」
彼のふわっと笑った顔が好き。
『うるさいな。…ま、自信もなかったんだよ正直。
なーんか優秀な人だったみたいだからさ』
「それも合ってる。すげー人だぜ。
美人で博識、しかも俺を見出しちゃった凄腕スカウト。なにより胸のカップが」
『店員さん〜！おかわりお願いできますか〜！』
ちょっと意地悪で、イタズラっぽく笑う顔も好き。
『…で、どこまで行ったの』
「…ん？」
『だから、最後までやったかって聞いてんの』
「はっはっは、俺がそんな手ぇ早そうに見える？」
『むしろそうとしか見えないけど』
「ばーか、キス止まりだよ」
『…ふーん』
「なに、安心した？」
『うるさい浮気男』
余裕があって、自由気まま。そんな雰囲気が好き。
全部全部全部。
「…望月。俺さ、礼ちゃんに振られたの」
まっすぐ彼を見据える。
「望月がよければ、……もっかい、付き合う？」
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月16日 17時
