143.苦労 ページ14
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「…ふ、」
部活前、着替え終わってまだ時間があったからケータイ開いたらあいつからのライン。
そのメッセージに思わず笑うと、隣にいた樹がこっちを見る。
「…鳴さん?また女の子ですか?」
「まーね、聞いてよ樹」
ほんとこいつおもしれぇ、
「一也への愚痴さんざん書いた後、さすがに悪いと思ったのか『手がすべっちゃったら返事ください』だってさ」
「それは可愛いですね」
「だろ?」
「返事せずにはいられなくなる、策士ですねその女の子」
あっさりと言い放った樹に思わずぽかんとして、
隣の後輩を見つめた。
「策士?Aが?」
「…え?!それが噂のAさんですか?
鳴さんが恋してたっていう伝説の幼なじみ…」
「殺すよお前」
にっこり笑うと「すみません、」と樹はすぐに謝って、俺もなんとなく引っかかって、頭にずっと残ってた。
最近のA、やたら甘えてくるし人懐っこいんだよなぁ、
「…あの、たぶんこれ聞いたら絶対鳴さん怒るんですけど」
「じゃあ言うな」
「鳴さん、まだ…Aさんのこと好きなんですか?」
言うなっつってんのに、この生意気な後輩は。
俺がまだAのこと好きかって、そんなもん、
「あのねぇ樹、そんな簡単に好きな子諦められたら俺だって苦労しねーの」
樹がAサンって下の名前で呼ぶだけで、
なんだかむかむかする俺がいるくらいには。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時