君が……だから。【snr】

39.大事な日なのに ページ41

せ「うん、ありがと。本番頑張るんやで」

『センラ……』

少し悲しそうな声で俺の名前を呼ぶ。

やめて、離れられなくなるから

せ「……あ!もう戻らんと怒られる!」

もう持ち場につかないといけない時間。Aは何も言わずに、教室に戻って行った

し「センラさーん?あ、いたいた。一緒にいこー」

せ「ああうん」


俺らが体育館に着くと、ちょうど俺らのクラスの2つ前の発表だった

体育館の袖の入り口に待機しておき、そこでしばらく志麻くんと雑談をする

そうしてるとあっという間に俺らの番となった

2人でそそくさとギャラリーに上がり、持ち場に着いた

俺は志麻くんと交代交代でスポットライトを担当するもとになっている

『あら猟師さんどうしましたか?』

Aの最初のシーンが始まった。

いつもはジャージで行っていた練習が今日はちゃんと白雪姫の衣装を着ている

上からでも分かるくらい本当に綺麗で、見惚れてしまいそうだ

し「おーい、そろそろ交代」

志麻くんの声にハッとする。ボーっとAを見つめているうちに自分の番になったらしい

せ「悪い悪い」

謝りながら、スポットライトを握る

うらたんがいる7人の小人が出てきて、有亜のおばあさんが出てきて毒林檎を渡して……

こんなにも早かったのかと思うほど、スムーズに進んでいく物語。


さ「なんて綺麗な姫なんだ、まるで眠っているようだ」

白雪姫が倒れて、王子様が出てくる

この後はキスをして、毒林檎を食べた姫は生き返る

う「王子様、なんとかこの姫を生き返らせてください。愛する人からのキスで呪いは解けます」

そう、愛する人だから。Aが愛してるのはきっと……

し「……さん、セ……さん……センラ!」

せ「え、あ、どうしたん?」

志麻くんから急に名前を呼ばれる。

し「大丈夫?震えてるけど……いや、大丈夫じゃないな」

俺の目を真っ直ぐ見つめ、断言する

せ「な、なにが?」

し「気づいてへんの?涙出てるで」

そう言われ、目元をこすると確かに液体が出てる

せ「もう無理そうやわ……代わってくれん?」

し「おう、心配すんな」

志麻くんに代わってもらった後も、ひたすらに泣き続けた

見ていないのに、その光景を想像してしまいさらに辛くなる


さ「姫、どうか僕のキスで生き返ってください」

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