二十八話、真実と嘘 ページ43
〜首領室〜
其処には、椅子に座る二つの影があった
尾崎「鷗外殿、いつまであの子に“隠している”心算じゃ?あの子の異能にもそろそろ限界がくるであろう。乗り越えなければならぬ」
尾崎の言葉に、森は手元の資料に目を落とす
森「解ってはいるんだけどねぇ…あの子が自分の“本当の”異能力を使えるようになるには、まだ彼女の精神面の強さが足りないさ」
森がそう言うと、尾崎が一つ溜息を溢す
尾崎「あの子はまだ何も知らぬ。言わば幼子の様な状態じゃ自分の異能の本来の意味を知らねば、あの子はもう、これ以上は強くなれん。それどころか弱くなってしまうだろう」
森「いや、私もね隠したくて隠しているのではないのだよ」
その言葉に尾崎が訝しげに尋ねる
尾崎「どう言う意味じゃ」
そして森は
森「彼女は最初から自分の異能力の本来の姿を知らない訳ではない。その異能を封じたのは…
A君自身なんだよ」
尾崎「何?」
尾崎も目を見開く
森「A君は自身のトラウマの原因、つまりは実の兄に…自身の片割れに見捨てられたと言う過去に繋がる。その者と血を分けた自身の異能を自分に閉じ込め、紛い物の異能力を使い出した。そして、問題なのは…この点を組合が知っていることだ」
尾崎「それは不味いのう。Aはその記憶すら無くしているのだろう?この話をされれば異能の暴走もあり得るぞ」
その言葉に森は深く頷き
森「そう。だからこそ、組合との対戦では敵をA君に近付けてはならない」
その手には、組合から送られてきた手紙がシワになる程強く握り締められていた
〜何処かの船〜
其処には、以下にも高級そうなワイン、果物が並べられ、ソファに座る男自身の身なりも、何処かの富豪の様な佇まいをしていた。そして男の手にはある一枚の紙があった
【中島Aの調査記録】
異能力・山月記
年齢・十八歳
備考
ポートマフィアに所属し、幹部兼参謀を務めている
幼少期、実の兄と共に孤児院に引き取られたが、何か問題が発生し追い出され、その後貧民街へ
現在は芥川Aと名乗り、ポートマフィアの芥川龍之介の妹となっている
調査対象は、自身の本来異能を封じ、擬似の異能力を使用している
その書類を見た男は不適に笑い
「ククッ、待っていろよ。必ず本の“鍵”であるお前も手に入れてやる」
そう呟いた
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りんりん(プロフ) - 神楽さん» 正解です!わざわざありがとうございます。嬉しいです! (2023年2月11日 21時) (レス) id: 67e2abf0c7 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 花は,君影草。花言葉は「幸福が戻ってくる」。ですかね…? (2023年2月11日 20時) (レス) @page8 id: 41c526018a (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます!すぐに訂正致しました。これかもよろしくお願いします (2021年5月21日 12時) (レス) id: 67e2abf0c7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 4ページ 確かめたくて の め が抜けています (2021年5月20日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - やっさんさん» やっと二期に入りました!長かった〜 (2020年12月29日 1時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんりん | 作成日時:2019年11月13日 20時