【文スト】大人びている少女、武装探偵社にて奮闘中

十話 人生万事塞翁が虎 ページ12

A「敦さん？」

Aが声をかけるが、敦は、凄く怯えた様子で

敦「ぼ、僕はこれで失礼します…さ、さよなら〜」

四つん這いで店を出て行こうとするが

国木田「待て小僧」

国木田が逃げ出そうした敦の服の襟首を掴んだ。だが敦は尚も逃げようとする。だが

国木田「貴様、何か知っているな？」

国木田の言葉に諦めた様に力を抜き

敦「む、無理だ…奴に人が敵うはずない！」

怯えた様に国木田に訴えた。その返答に国木田は

国木田「貴様、人食い虎を知ってるのか？」

それを聞いた敦は、更に声を震わせて

敦「彼奴は僕を狙ってる…殺されかけたんだ！この辺に出たなら、早く逃げないと！」

国木田の手から逃れようとする敦だが、その行為も虚しく、国木田が突然襟から手を離した事により、バランスを崩し床に倒れた

敦「…！」

そして其処を国木田が手を捻り上げて拘束する

国木田「小僧！茶漬け代は、腕一本か全て話すかだな。」

敦に脅し？をかける、それを見た二人は

A「国木田さん、幾ら情報が欲しくてもそれはやり過ぎです。また父様に怒られますよ」

太宰「Aちゃんの言う通りだよ、国木田君、君がやると、情報収集が…尋問になる。社長に何時も注意されてるだろ？」

Aと太宰がそう言うと、国木田は渋々と言った様子で敦の腕を離した

A「大丈夫ですか？敦さん」

敦「う、うん。ありがとう」

敦は腕を摩りながら、起き上がった

太宰「それで、君は虎の何を知ってる」

疑問形ではない太宰の言葉にAも目を鋭くさせた。そして敦はポツポツと、自分の周りで起きた事を話し出した

敦「うちの孤児院は…あの虎にぶっ壊されたんです畑を荒らされ、鶏小屋を壊され…それに倉庫も…死 人こそ出なかったけど…貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって、口減らしに僕は追い出された…」

A「成程…」

Aと太宰は，何か確信を得た表情をしていた

太宰「そりゃあ…災難だったね…」

Aも辛そうな敦の背中を摩る

国木田「それで小僧、殺されかけたというのは？」

敦は、国木田の質問に覚悟を決めた様に、絞り出した声で言った

敦「あの人食い虎、僕を追い掛ける様に僕の行く先々に現れるんです…この間も鶴見の辺りを歩いている時に…」

敦の証言では、歩いていたら、すぐ側にあったカーブミラーにその虎の姿が映っていたそうだ

A(そういう事ですか…)

Aがニヤリと笑ったのは、誰も知らない…

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