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山田side
山｢うーん……………。｣
伊野尾さんにカレーライスを作っている間、僕はある疑問を持っていた。
山｢なんで、全く同じように辿ったんだろ………。｣
一般的に過去に戻るお客さんはみんな、自分の思いを相手に伝えたりするんだけど……………。
伊野尾さんはそれをしなかった。
まぁ、僕がこんなに考えたところで答えは出ないんだけれども。
そんなことを考えつつ、出来上がったカレーライスを持って厨房を出た。
伊｢涼ちゃん！！｣
山｢うわっ！！！びっくりしたぁ………………。｣
いつから居たのか、いつものカウンター席に移動している伊野尾さんに驚く。
伊｢へへ、やっぱり涼ちゃんってリアクション良いよね。｣
山｢ここでこのカレーぶちまけますよ。｣
伊｢ごめんごめん冗談だって……！！｣
焦ったように謝る伊野尾さんにクスッとしながら、カウンターにカレーライスを置いた。
てか、あれ…………………？
山｢元気戻ってる……………………。｣
伊｢ん？あー、元気がない俺なんて俺っぽくないでしょ？｣
そう言ってカレーライスにがっつく伊野尾さんは、本当にいつも通りだ。
山｢そういえば伊野尾さん、どうして過去を全く同じように辿ったんですか？｣
今なら聞けるかも……なんて思い、そう口にしてみる。
すると伊野尾さんは、"本当になんとなくなんだよな〜"と宙を見つめた。
伊｢まぁ…………もう1回顔が見たかっただけだからさ。｣
伊野尾さんのその言葉に僕はどう反応すればいいのか分からず、少しの間沈黙が訪れる。
……………………しかし。
伊｢はぁ〜なんかすっきりした！！！ありがと、涼ちゃん。｣
沈黙を破ってそう言った伊野尾さんの顔は、その言葉通り本当に晴れ晴れとした顔つきだった。
カレーライス end.
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作者名：如月 | 作成日時：2021年11月20日 19時
