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山田side
山｢じゃあ行ってくるねー。｣
薮｢車には気をつけてね。｣
山｢はーい。｣
午後のお客さんが少ない時間帯。
お店は変わらず営業しているけれど、僕は買い出しに行くことに。
えーっと……まずは卵と食パンと…………。
｢あの……。｣
メモ帳を確認していると誰かから声をかけられ、反射的に顔を上げる。
｢あっ、覚えてますか？
以前ここで過去にお食事させていただいた八乙女です。｣
山｢あっ、あの時の…………！｣
八｢あの、少しお話したいことがありまして……。｣
僕に話したいこと……？
山｢じゃあここで立ち話もなんなので、中どうぞ。｣
__
山｢ただいま〜｣
薮｢えっ、まだ5分も経ってないけど！？｣
動揺しながら出迎えてくれた薮ちゃんが、僕の後ろにいる八乙女さんを見て軽くお辞儀する。
薮｢以前来店してくださった方ですね……？｣
八｢はい。｣
山｢お話したいことがあるって言ってたから、とりあえず戻ってきちゃった。｣
薮｢お話したいこと………？｣
薮ちゃんが八乙女さんの顔を見てそういうと、八乙女さんが口を開いた。
八｢あの単刀直入に言いますと……
ここで働かせてください。｣
そう言って、体を90度に曲げる八乙女さん。
山｢…………えっ！？｣
薮｢え、ちょっと待って全然理解が追いつかないんですけど……。｣
突然の言葉に、僕も薮ちゃんも動揺を隠せなかった。
八｢僕、以前も言っていたようにみんなに親しまれたお店で働くことが夢なんです。
先日訪れた時にそれを肌で感じたというか………。
僕もここで働きたいって思ったんです。
無理を言っているのは分かってます、でもここで働かせてください！！！｣
薮｢ちょっとまさかの展開すぎてついていけないんだけど……。｣
山｢僕も………。｣
僕も薮ちゃんも未だに状況が読み込めず、顔を見合わせて固まっている。
薮｢ま、まぁとりあえず今すぐにお返事は出来ないので、連絡先だけ教えて頂けますか……？｣
八｢はい、分かりました。
えーっと、番号は…………｣
_
この時の僕と薮ちゃんは、さらさら他の従業員さんを雇う気は無かったんだ。
2人で全然やっていけていたし、何より僕の能力のこともあったから。
八「これからよろしくお願いします。」
でも2人で何度も話し合いを重ねた結果、八乙女さんはパートさんとして一緒に働くことになった。
………ほんと、人生って何があるか分からないなぁ。
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作者名：如月 | 作成日時：2021年11月20日 19時
