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『大ちゃん、スピード！スピード早いってば！！』
「え？ほんま？」
『車椅子横転する！！』
桜の花びらが散る季節
1ヶ月寝ていた私はようやくリハビリを終え、退院をし車椅子での生活が始まった
自分で歩けるまで時間はかかりそうだが、病院内にいるよりも全然外の生活の方が楽しい
あれから家には帰ってはいない
両親からの連絡も一切なく
来年には大ちゃんと同棲を始める予定だ
今は施設に住ませてもらっている
今後
彼は大学へ進み、私はこれから就活への道に進むことを決意した
金銭面は不安だが……それでも前の生活と比べれば幸せな方
そして、夢のようだった彼等との思い出は、一生忘れることは無いだろう
あの幸せも、彼等からの愛も
太陽の光でキラリと輝くピンバッジを見つめ、ゆっくりと息を吐く
後ろで大ちゃんが話し掛けてくるのに軽く応答していれば、強く風が吹きつけ思わず目を細めた
「あの」
そんな中、女の子の声に私達は止まる
聞いた事のある気がする声
目の前にやってきた女の子に大ちゃんが
「お嬢さんどないしたん？」と優しく声を掛けていて
『……あなたは…』
私達の先にいたのは14歳くらいの女の子
何処か身に覚えのある顔に、私の思考は止まった
女の子は私の顔を見て
「これ、お姉さん達から落ちてきたハンカチ！落としたんじゃないかな？」
そう言うと、ふわりと笑い私の膝の上にハンカチを乗せる
言葉が詰まって何も言えない私に大ちゃんが
「ありがとう」と笑顔を送り
すぐに母親であろう人がこちらに来て頭を下げてから女の子の手を引く
楽しそうに、幸せそうに笑っていながら私の横を通り過ぎ行き
「お姉さん、ありがとう」
通り過ぎた女の子からそんな言葉が聞こえて、思わず振り返った
その後ろ姿を眺め、自分のやった事が間違っていなかったと初めて感じる
何も、間違っていなかった
その安心から泣きそうになっている私を見た大ちゃんが「最近涙腺弱ない？」と困ったように私の頭を撫でた
『ごめん…っ、なんでも、ない』
「ってかこんなハンカチ持っとった？……まぁええか、ほらティッシュ…って……あ"！？もうこんな時間！？」
『え？』
「待ち合わせ時間過ぎとる！」
『え、え！？待ち合わせって…』
「今日会わせたいヤツらがおる言うたやん…！」
グッ車椅子を押す力を強めた大ちゃんに、相変わらずだなぁと口元を緩ませた
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美雨 - 小説で久しぶりに泣きました。最高の作品でした。大好きです。 (7月26日 18時) (
レス) id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
はーな(プロフ) - 読み終わったあと感動で胸が締め付けられました。神作に出会えてよかったです!! (2022年9月2日 19時) (レス) @page27 id: e031897919 (このIDを非表示/違反報告)
海 - 泣けた。やばいですよもう。 (2022年8月14日 21時) (レス) @page27 id: 5511dd41f6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 感動してめちゃめちゃ泣いた.....しかもこの小説私の誕生日に作られてる、運命かな......... (2022年7月19日 21時) (レス) @page27 id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
あたり(プロフ) - 最近この界隈に戻ってきて転生と外せかのシリーズを読み返していたのですがこれは読んだことなかったなと気付き読み始めたら…感動しました……外せかはガチで泣きましたけどこの作品も相当良かった……なんで当時読まなかったのかが不思議です…ありがとうございました (2022年4月17日 12時) (レス) @page27 id: f83fcb16fe (このIDを非表示/違反報告)
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