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好き



あの時、聞いたセリフが再度聞こえる
聞き間違えじゃ無かった
そう思うと、この感情をどうしていいかわからなくなって




胸の奥が痛くなる、苦しくなる


思わず顔を伏せて、泣きそうになる顔を手で覆った



駄目だ、泣いちゃ駄目だ
笑うって決めたのに

最後は彼と笑って





「……ちゃんと、言えんかったか『し、知ってます』…え?」
『聞こえてました…っ、好きって…言ってくれたの、聞こえて、た……っ嬉しかった…凄く、嬉しかったんです』



「……っ、聞こえて、たん…?」
『嘘じゃ、なかったんですね…』







顔が更に赤くなる鬱さん
初めて見た表情にこんな時でもときめいてしまう私がいて





それを抑えて、顔から両手を離す

最後だ
彼に言える、最後の言葉
謝罪もした、お礼も言えた、話したい事も全部






あと


あとは……




私が今思っている

彼に、抱いてしまった感情を








『……鬱さん、私…私も』






爆発しそうなくらいドキドキする心臓
顔が熱くなる

想いを伝えるのはこんなにも、難しかったのか


それでも、後悔はしたくない






『鬱さんの事が、す「ありがとう」…っ……へ?』






彼の顔との距離がゼロになる
フワリと香った煙草の匂い


ちゅっとリップ音が聞こえたと同時
唇に柔らかい感覚が一瞬して


熱くなる頬
何をされたのか理解するのに時間はかからなかった





突然の事で、驚いて彼を見ると照れ臭そうに笑っていて

その瞬間、月の光が強くなる






『っ』
「俺の印、無くなっちゃったから……両思いやった記念やな」




そう笑った彼は、いつもより頼りなくて




『っ、なんで』
「…Aちゃんは、幸せになるべき子なんやで」




それでも満月に照らされて、微笑む彼が凄くかっこいいと思ってしまった




『…なん、で……っ』
「大丈夫、守ってくれる奴がちゃんとおる…だから生きて、笑って……幸せになって」








『っ、鬱さ』




「また、いつか」





最後に見えた、彼の顔は今まで一番の笑顔だった







ズルい
やっぱり彼は、ズルい



月の光に目の前が見えなくなり
泣く事も、彼に想いを伝える事も出来ず




私は、意識を失った

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美雨 - 小説で久しぶりに泣きました。最高の作品でした。大好きです。 (7月26日 18時) (レス) id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
はーな(プロフ) - 読み終わったあと感動で胸が締め付けられました。神作に出会えてよかったです!! (2022年9月2日 19時) (レス) @page27 id: e031897919 (このIDを非表示/違反報告)
- 泣けた。やばいですよもう。 (2022年8月14日 21時) (レス) @page27 id: 5511dd41f6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 感動してめちゃめちゃ泣いた.....しかもこの小説私の誕生日に作られてる、運命かな......... (2022年7月19日 21時) (レス) @page27 id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
あたり(プロフ) - 最近この界隈に戻ってきて転生と外せかのシリーズを読み返していたのですがこれは読んだことなかったなと気付き読み始めたら…感動しました……外せかはガチで泣きましたけどこの作品も相当良かった……なんで当時読まなかったのかが不思議です…ありがとうございました (2022年4月17日 12時) (レス) @page27 id: f83fcb16fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちまる | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年4月25日 8時

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