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「 だって、突然そんなこと言われたら、」
糸が切れたみたいに、
笑いが止まらない。
彼も、笑いながらも真剣な顔を作ろうとする。
「 そんなことじゃない、
おれが真剣なの、わかる？」
「 うん、わかるよ 」
むっと口を結んだかわいい顔。
スンさんがやるみたいに、
頬を両手で包んでみる。
うれしそうに鼻の下が伸びるのが、さらにかわいい。
「 ゆずちゃんに2年間片想いされた、
同じクラスの男子も、
1年間片想いされた塾の先生も、
酔っ払ってお持ち帰りした、バイトの先輩も！
全部おれだったらいいのに！って思うよ。
あ〜おれも、お持ち帰りしたかった！！」
そう言うと、
わたしのお腹を抱きしめて、上目遣いで見つめてくる。
かわいいのに、
言っていることが
おじさんみを帯びすぎていて
やっぱり、笑ってしまう。
笑った拍子に
目にたまった涙がまたぽろっと落ちる。
「 でも、いいんだよ。
お持ち帰りはできなかったけど
いま、ゆずちゃんがだいすきなのはおれだから
その方がずっとうれしい。
おれの勝ちだよ。
ゆずちゃんも、そう思わない？」
涙が渇き始めて
今度は、まっすぐに見つめてくる目が
はっきり見える。
「 わたしの勝ち？
前の彼女さんじゃなくてわたしが？」
頬を両手でぎゅっと包まれる。
「 そうだよ。
ゆずちゃんの勝ち！
優勝だよ！」
優勝なんて言うからおもしろくて、
笑ってしまって、また涙がぽろぽろ落ちる。
「 あと、
泣き顔がかわいい子の世界大会に出る？ 」
わたしを笑わせるのが得意なスンさん。
陽気で優しくて、すてきな人だ。
きっといろんな女の人にもててきた人生だろう。
でも、いいや。
いまは、わたしだけのスンさん。
スンさんだけのわたし。
「 もう、泣かないでよ〜
しっかりしてよ〜
お嫁さんになるんだからさ... 」
そう言って、にやにや笑ったと思ったら
爆弾発言を残したまま
全力で走って寝室を出ていったスンさん。
わたしの歓喜の悲鳴が家中に響いた23時。
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作者名：は | 作成日時：2020年10月16日 1時
