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「 うそ、ほんとに?」
わたしの肩をがしっと掴む。
反応が面白くて思わず笑ってしまうわたし。
「 メボレ?」
「 うん 」
「 メボレなの? 」
「 メボレだよ 」
「 うそ!」
本当に驚いたようで、
口を押さえてソファにまた倒れ込むスンさん。
「 これ?これにメボレ? 」
自分の顔を指さしてそう言う。
「 そうだよ 」
「 信じられない... 」
「 なんでよ、かっこいいもん 」
「 いや、そんなこと一生ないと思ってたよ 」
前に、スンさんが
自分の容姿について思っていることを、
話してくれたことがある。
自分では満足してはいるけど、
王道のかっこよさではないって
性格でもてる人なんだってことも、一緒にいればよくわかる。
でも一目惚れってね
ただかっこいい、って思うことと違かった。
かっこいい、って言葉だけじゃ表せない、
大きくて不思議な感情だ
ケーキ屋さんで働く、店員さんだったスンさんと
初めて会った日
予定になく買ってしまったチーズケーキを
片手に持って歩きながら
考えた。
きっとあの人は、高校の同じクラスにいたら
お調子者で、クラスの人気者で
大人しい人とも、賑やかな人とも
分け隔てなく仲良くするんだ
体育祭では、足が早くて選抜リレーに選ばれて
文化祭では、劇でギャグキャラを演じてくれる。
その時高校を出たばかりだったわたしの頭には
一度会っただけなのに、
そんな妄想が繰り広げられて
その日、勇気を出して
もう一度ケーキ屋さんを通りがかると
恥ずかしくて、一瞬しか目線を向けなかったのに
コック帽を被ったお兄さんは、笑顔で手を振ってくれた。
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作者名:は | 作成日時:2020年10月16日 1時