ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ37)

今日:43 hit、昨日:5 hit、合計:72,692 hit

時の流れページ37

．
．

スケジュールを確認しようとカレンダーを開いた時に気付いた。

『あ、来週…』
「来週？仕事入った？」
『いや、えっと…兄の』
「兄？Aちゃんお兄さんいるんだね」
『はい…お兄ちゃんの命日だって思い出しまして』
「命日？そうなんだ…」

来週は兄の命日。去年は忙しくてお墓参りに行けなかったから母に頼んで代わりに行ってもらった。幸い八代さんの仕事と被ってる訳では無いので今年は行けそう。
兄の思い出話を八代さんに話していくうちに、なんだか懐かしい気持ちになれた。

帰宅してリビングに入るとお風呂上がりの梅原さんが筋トレをしていた。明日の支度をしながら今日あったことを話すと、梅原さんは筋トレを一時中断して聞いてくれた。

『それで気付いたんですけど、来週お兄ちゃんの命日なんですよ』
「そうなんだ。実家帰んの？」
『んー、あれ以来お母さんに会ってないんで一応帰ろうかなあって』
「へえ」
『だから来週は家にいないです。戸締りしてちゃんと寝てくださいね。あんまり変な動画とか観てたら怒りますからね』
「見ねーよ」

久しぶりの実家はドキドキするな。お母さんになんて言われるんだろ。やっぱりやめようかな。
その事ばかり考えながらお風呂に入って、湯船に浸かっていたら突然扉が開いた。

『ひゃっ！ちょっとなんですか！』
「今更恥ずかしがんなよ。来週俺も行っていい？」
『えっと…お墓参り？』
「それもだけど。実家」
『あ…今ちょうどやめようかなって考えてたとこです』
「なんで。行くぞ」
『はい…』
「じゃあ」

パタンと扉が閉まって、出て行った。なんなんだ…戻ってからでもいいじゃん。

とりあえず実家行きが決まった。梅原さんも一緒だなんて。
お母さんにLINEしたら「わかった」とだけ返事が来た。なんか冷た。お父さんにもLINEしてみたけど「分かった！久しぶりに会えるな！嬉しい！」と返ってきた。テンションが若い。

時の流れというものは残酷であっという間に当日を迎えてしまった。