ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ32)

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コミュニケーションページ32

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『またよろしくお願いします！』
「よろしくね。えっと、Aちゃん」

4月になり、私は社会人2年目となった。梅原さんのマネージャーを卒業して、次担当させてもらうのは前も少しお世話になった八代さんだった。

やっぱり八代さんは優しい。パシらないし、迎えに来いなんて言わない。車で行動されてるから自分でなんでもしてくれるし、むしろ私はなにも出来てないのではと少し心配している。

「お前帰ってくんの早いな」
『だって八代さんめちゃくちゃなんでも自分でしてくれるんですもん』
「ふーん。まあいい歳した大人だし。あ、そこの雑誌取って」
『梅原さんもいい歳した大人なんですよ……はいどうぞ』
「ありがとー」

全く…八代さんを見習って欲しい。梅原さんと同棲を始めてから、生活リズムはあんまり合わないけど、八代さんと現場が同じ時がたまにあるからそこで顔を合わせたりできることに気付いた。
だから同棲を提案してくれた梅原さんには頭が上がらない。

『だとしてもだよね…』
「あ？」
『何も無いです…』

相変わらず冷酷な梅原さん(大魔王)は現場終わりに迎えに来いとか連絡してくる。事務所に行く時も、ビルが同じというのをいい事に連れてけとか言うし。
それでもやっぱり好きだなって思うのは私が悪いんだけど。

『梅原さん』
「ん」
『来週泊まりの現場があるので3日くらい居ないです』
「へえ。気を付けて」
『…はい』

台本に目を向けたまま返事された。しかも返事が短いし反応も薄い。悲しい。

『あー！八代さん衣装似合ってたなー！歌も上手かったなー！本番楽しみだなー！』

大声で聞こえるように言ったけど反応は無い。
嫉妬させようキャンペーン終了である。

「A」
『はっ、はい』

しょぼくれてた私に声をかけた梅原さん。何を言われるんだろうと思ってドキドキ。

「風呂入りたい」
『…お湯ためてきます』

なんか、同棲する前の方がもっとコミュニケーションあったなと思って悲しくなった。お風呂に行く足取りが重く感じた。