ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ14)

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思惑ページ14

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A、というのもなんか緊張するけど家族の話を聞けて良かった。少し彼女のことを知れたような気がする。お兄さんのこと、両親のこと。

両親はお兄さんのことがあってからAに凄く厳しくなったらしい。門限を設けたり、誰と遊ぶのかみたいな。
まあ女の子っていうのもあるし理由は分からんでもない。そんな厳しく育てられた娘が合格通知をスルーするなんてどうかしてると尚のこと思った。

『私ちょっとお手洗い行ってきます』
「行ってらっしゃい〜」

今度は江口さんと2人になる。ニヤニヤしながらずっとこっちを見てくるから蹴った。

「痛いって〜。ねえ。Aちゃんといい感じ？」
「別に普通です」
「梅ちゃん、なんだかんだ言いつつAちゃんのことガン見してるよね」
「江口さんの方見たくないんで」
「ひどいなあ。せっかく話せるチャンス作ってるのに」
「それはまぁ、」

Aがマネージャーになってくれて半年。何も知らな過ぎた。江口さんならAがどんな人間なのかっていうのを自然と引き出してくれそうと思って、こういう会を設けてもらった。

そのおかげで知らなかったことを知ることが出来て、楽しい時間を過ごすことが出来てるから江口さんにはこれでも感謝している。

「まあ俺も梅原さんが得してるみたいな感じなんだけどね。Aちゃん可愛いし良い子だし」
「俺のマネージャーですよ」
「俺のAじゃなくて？」
「そこまで言えるほどまだ仲良くないです」
「まあこの先に乞うご期待ってとこだね」

そのわずか数分後、Aが戻ってきた。随分戻ってくるのに時間がかかったと思ってたら迷子になったらしい。

『びっくりしちゃいました』
「お茶目だねえ。じゃあそろそろ帰ろっか〜」

今回も相変わらず江口さんが支払ってくれた。江口さん主催とはいえ申し訳なくなってくる。

『いつもすみません…ありがとうございます』
「いいのいいの〜。あ、今度宏太朗も一緒に飲みたいって。宏太朗って誰か分かる？」
『西山さんですよね！』
「俺とラジオやってるんすよ」
「あ、そうだったわ。ひょろっと男子ね。また飲み行こうね」

じゃ、また。と解散して歩き出した方向はみんな同じだった。意外と家近所なのかよ。