ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ2)

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こんな出会いページ2

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特に夢も希望も無かった私は就活の時期になり、手当り次第に色んな企業に面接を申し込んだ。その結果、いくつか採用を貰って喜びに満ち溢れてしまったのが運の尽き。返信を返さないといけないのに忘れてた企業が多くて、唯一まだ期限が来ていなかった会社に返信をした。

『まじで何やってんだろ』

2017年春、全くその分野に関して知識がない声優のマネージャーという職業に就いてしまったのである。

大体は一人の声優に何人かのマネージャーが専属でいるみたいだけど、私は一人で担当するらしい。新卒にそんなことしていいのかよ！と心底思ったが、もう他に職はないので頑張るしかない。

初日は事務所に朝一で向かった。先輩に私のデスクを案内してもらったあと、大まかな内容やスケジュールを聞いて担当声優と初対面することになった。

「こちらが松野さんが担当する声優さんだよ」
『初めまして、松野Aです。ご迷惑にならないように頑張りますのでよろしくお願いします』
「あ、はい。よろしくお願いします。梅原です」

梅原さんの名前は事前に聞いていて、下調べもして来た。声はもちろんのこと、ルックスもイケメンと書いてあってその通りだなぁと思ったけど、感情が無さそうで少し怖い。

「じゃあ俺はこれで。梅ちゃん、なんでも松野さんに言ってくれればいいからね」
「はーい」

この先輩はこないだまで梅原さんの担当をしていた。4月になって、違う声優の担当に付くことになった。

『えっと…まず午前中はひょろっと男子の収録ですね』
「はい」
『タクシー来てるので行きましょうか！』
「はい」

やばい。この人全然喋らないじゃん。先輩とはまあまあ距離感近かったと思うけどな…

タクシーに乗ってPCに保存してるスケジュールを見ながら予定を立てる。
こういう時間の組み立ては得意な方だから良かった。やっぱり人気声優はすごいなぁと思っていたら突然話しかけられた。

「新卒ってことは23？」
『ひゃっ…はいっ、あっ、えっとまだ22です…誕生日12月なので…』
「そんなびっくりしなくても…」
『すいません…』
「まだまだ若くていいな、羨ましいわ」
『すいません…』
「いや、褒めてるんだけど」

この人全然分からない…！私が緊張し過ぎてるだけなんだろうけど！
初対面からこんな出会いってあるんだろうか。この先が思いやられる。