短編

けんしろ1 ページ19

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「それだったら、川西と一緒に途中合流すればいいやんか」



「そんなら、そーしよっかな。」




夏休みに入る前。
同期とそんな話をした。



川西くんに提案したら、二つ返事でお願いしますと返された。









状況を説明しよう。



わたしと川西くんは、おんなじゼミに所属している。

わたしが三回生、彼は二回生。


大学のゼミは、学部や学科、ゼミによって方針が全然違う。


名前だけ置いておくようなゼミもあれば、所謂意識高い系の話し合いや発表だらけのゼミもある。



卒論の有無、合宿や発表も、本当にそれぞれ全く違う。



私たちの所属するゼミは、それなりにちゃんとやってて、卒論もまあ頑張ったら単位がもらえて。



夏休みに比較的フランクな実地研修という名前ばかりのゼミ合宿がある。



先輩が言うには、そこで親睦が深まるから、なんだかんだ定期的に飲み会を開くくらいの友達はできるって勧めてもらったゼミだった。



ゼミが始まるのは二回生の後期。

前期の最後にゼミが決まって、二回生の最初のゼミの活動になるのが、この夏合宿。




だから、まだ顔合わせと最初の飲み会くらいでしか、二回生とは話していない。




わたしは、ゼミ合宿の初日にどうしても外せない用事でみんなと一緒に出発ができなくて。


交通費と宿泊費は団体で支払ってるけど、自腹で合流するなら初日の夜から来れば？と同期に誘われてた。





正直痛い交通費の出費に返事を渋っていれば、二回生の川西くんもサークル活動で出発には間に合わないらしくて。




じゃあお前先輩だし一緒に来いよ、という話が持ち上がり、今それが決定したところ。




大阪から九州に向かう道中。
約5時間の道のり。




ほとんど話したことのない後輩と、


さて、なにを話そうか。






そんなことを考えながら、
気づけば当日になっていた。




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