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ーAsideー


鍵を持って部屋を出ると、ドアに何か硬いものがぶつかる。


その正体を確かめるべく手に取ると、それはランプだった。



『……誰かに見られてるね』


「そうみたい」



ウタさんは怖がる様子も警戒する様子もない。どこまでもマイペースで自由人だ。


そういうところがいいんだけどね。



『ま、ありがたく使わせていただこうか』


「うん」



ウタさんはランプに火をつけるとライターをしまった。


ランプであたりを照らす。


目指すはお父さんとお母さんの部屋だ。


お父さんとお母さんの部屋は3階の左に曲がったところの一番手前の部屋。



『…なんか音しない?』


「する」


『だよね!?音楽かかってるよね!?』


「どこからだろう」



ウタさんが前を歩こうとした瞬間、すぐ隣の部屋のドアが開いた。



『入れってこと?』


「……」



ウタさんは黙って部屋の中に入っていった。


続いて私も中に足を踏み入れると、怯えている私を中に押し込むように扉が閉まった。


風じゃない。明らかに何者かの力が加わっている扉の締まり方だ。



「大丈夫?」


『うん』



ランプで中を照らすと、今ではほとんど見られない蓄音機が見える。


音はどうやらここからなっているようだ。


誰かの歌声。女の人?どこかで聞いたことがある…。



『お母さんの声だ』



お母さんがよく、眠れない時に歌ってくれていた子守唄。


私が蓄音機に手を伸ばすと、触れる直前で蓄音機が爆発した。



『わっ!?』



避けた勢いで後ろに転びそうになる。ウタさんが支えてくれたおかげで頭を打つのは避けられた。



「監視カメラでもあるのかな」



ウタさんは上をぐるりと見渡す。



「出ようか」


『…うん』



今度こそお父さんとお母さんの部屋に向かう。階段を登って、左に曲がった一番手前の部屋。


ドアを開けると、ひどい匂いに鼻を覆った。



『なにこの匂い…』



ウタさんも顔をしかめている。


部屋の奥を照らしたウタさんはランプを落としてしまった。



『え?ウタさん大丈夫?』


「ごめん」


『これってさ。お父さんとお母さんだよね』



ベッドに横たわっているのはあの時私が殺した両親だ。

私があの時ぐちゃぐちゃにした関節は綺麗に元どおりにされている。


継ぎ接ぎだらけの皮膚。こけた頰。あの時私を裏切った、最低最悪の私の親。


部屋にある引き出しから日記を取り出す。


もう帰ろう。そう思った矢先のことだ。

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mh - いつもクオリティの高いお話をありがとうございます!応援しています‼ (2022年2月23日 1時) (レス) id: 6608c57345 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - ミライアルさん» ありがとうございます!更新ペース上げられるよう頑張りますね!! (2019年4月20日 19時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
ミライアル(プロフ) - うぉー!なんか続きがめっちゃくちゃ楽しみっす!更新頑張ってください!応援してます! (2019年4月20日 13時) (レス) id: b0af308e1c (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます!!よかったです!倒れない程度に頑張ります!! (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - 第5弾おめでとうございます! すごく面白かったです(^_^) 更新、無理しない程度に頑張ってください! (2019年4月2日 23時) (レス) id: 4b077ed0aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:eye | 作成日時:2019年3月24日 23時

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