36・ ページ36
ーAsideー
やっぱり今日の私変なのかな。
このまま私が私ではなくなってしまったらどうしようという恐怖が押し寄せてくる。
私が私じゃなくなったら、私は一体どうなるの？
「おっと」
『あ、すいません』
少しあげた顔を反射的に下げる。
「…？すみません、どこか痛いですか？」
『いえ、どこも』
ゆっくりと顔を上げる。もちろん笑顔で。
「それは良かった。最近喰種が多いので気をつけて」
『はい。お兄さんも』
ばーか。
喰種に言ってどうすんだ。
っと心の中で嘲笑い、白鳩とすれ違う。
ふわり
どこかで嗅いだことのある香りがした。
ー
『ただいま』
金木さんはカウンターにいる。
お姉ちゃんはまだ学校かな？
誰もいない私の部屋。
だけど、私は「ただいま」を、必ず言うことにしている。
特に理由はないけど。
たまに自分が悲しくなるけど。
それでもなぜか、言いたくて。
バフっとベッドに倒れこむ。
制服シワになりそうとか、他人事みたいに考える。
『お腹すいたな』
言い終わるや否や、お腹がぐぅと鳴った。
『あー。肉ぅ』
仰向けになって何もない天井に手を伸ばす。
空を掴んで数秒。手に力をふっと抜く。
『いった！？』
自分の手が顔面に直撃する。
『はぁ』
なんか疲れたな。
もう寝よう。
『おやしゅみなさぁい』
半分夢の中状態で口を動かす。
「おい」
『ほ？』
「wwwwほ？じゃねぇよwwてか「ほ？」って何ww」
『ちょっとぉ！？何勝手に人の部屋入ってんの！？親しき仲にも礼儀ありだよ！？』
「ドア開けっ放しだったし」
『だからって勝手に入ってくんな！？』
「うるさ。…寝るなら制服脱げよ」
『はいはーい』
「シャワーも」
『…はい』
「入れよ？」
『わかってるよ！』
「やること済ませてから寝ろよ。どうせ起きるの遅いだろ」
『いつも遅いのお姉ちゃんだけどね』
お姉ちゃんに呆れ顔を向けようとした時にはもうすでに
『最後まで聞けよ！？』
いなくなっていた。
ツッコミ疲れた。
もう寝たい。
さっさとやること済ませよう。
そしてまた明日、学校で、ふつうに過ごそう。
それがいい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 354人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
eye(プロフ) - 悠李さん» ご指摘ありがとうございます！気づきませんでした…！訂正します！ (2019年8月4日 19時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
悠李 - すいません、11ページの「一部始終」というのは全てみていたと言う意味になるので正しくは「一部」だと思います…！ (2019年8月4日 18時) (レス) id: 9118a43d0b (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - うにゅ( 'ω' )さん» えぇありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです！！ (2019年3月25日 15時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
うにゅ( 'ω' )(プロフ) - eyeさん» うわ考えられてる！！！尊敬！！！ (2019年3月25日 13時) (レス) id: aa182fc6be (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - うにゅ( 'ω' )さん» トーカちゃんはラビットです！ラビットって書いたらバレるかな…と思ってカタカナで「ウサギ」にしてみました！ (2019年3月21日 12時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：eye | 作成日時：2018年4月11日 1時
