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不意に、ぱちっと目が覚めた。
すぐに視界に入ったのは、天井と、仕切り用の真っ白なカーテン。
それに、私の腕から伸びる透明な管。点滴?
そして、
「起きた?」
『……しんちゃ、』
「病院だよ」
耳に入ると落ち着くその声に、頭を撫でてくれるその温かい手に、安心して涙が滲んだ。
『あ、私、……ごめん、』
「謝らなくていいから。頑張ったね」
やっぱり、彼にはバレてたんだ。一言も言ってないのに。
慎ちゃんにだけにはバレないようにって、あんまり顔見せないようにしてたのに。
多分、最初の一瞬で気づかれただろうな。
撮影中も近くにいてくれたのはそういうことだろうな。
『ほんと、ごめんね…』
「だから謝らなくていいって。それより?」
『………ありがと』
「そ、そっちの方がたろちゃん嬉しいっすわ!」
こんな時でも、ちょっとふざけた口調で私を安心させようとしてくれる。
私はいつも、彼の優しさに救われてばかりだ。
「ゆっくり休んでな。俺ここにいるから」
『しんちゃ、お仕事は?』
「もう終わりだよ、大丈夫」
ほら、俺のことは気にしなくていいから、って布団を上までかけ直してくれる。
でも、私が欲しいのは布団の温もりなんかじゃなくて。
『……ね、』
「ん?」
『……手、握ってて、ほしい、』
「……うん、いいよ、」
大きくて逞しいその手に包まれるのが、本当に大好き。
ぎゅっと握り締めて、お互いの目を見て微笑み合って。
幸せだな、なんて思う。
繋いでいない方の慎ちゃんの手が私の頬に触れたと思ったら、慎ちゃんは立ち上がって顔を近づけてきた。
唇が触れ合いそうになって目を閉じる。
その時、
マネ「森本さんAのようす、は…」
パシャっ!とカーテンの開いた音がして瞬間的に顔を背け、慎ちゃんもばっ!と私から離れた。
入ってきたのは、私のマネージャーさんだった。
『あ、えっと……ご心配、おかけしました、』
きっと私の体調不良に気付いていた1人だと思うから、謝ったけど。
それどころじゃないみたいで。
マネ「……こんなところでまでイチャイチャしないでください」
「『すみません、…』」
マネ「Aは病人なんだから安静に!
森本さんは病人に手を出さないでください!」
「『はい…』」
マネージャーさんに怒られながらも、もうちょっとだったのにな、なんて、また彼と目を合わせて笑い合った。
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なぽりたん(プロフ) - すみかさん» そうなんですね!知識が足らず申し訳ないです…ありがとうございます、すぐに訂正させていただきます! (2021年9月18日 17時) (レス) id: 978682becc (このIDを非表示/違反報告)
なぽりたん(プロフ) - すみかさん» ありがとうございます!先にパート5を単体で作成してからパート4に続編の設定をするとお気に入りが継がれるんですよー! (2021年9月18日 17時) (レス) id: 978682becc (このIDを非表示/違反報告)
すみか(プロフ) - あと、一つだけ気になったことがあるので書かせてください!夢が叶う、の所森本刑事が県警に異動になったと言ってますが、警察官は元々県職員です。たぶん、県警本部、が正しいと思います!すみません、家族が警察官なので気になっちゃいまして^_^; (2021年9月18日 16時) (レス) id: 25c8e9c9aa (このIDを非表示/違反報告)
すみか(プロフ) - いつも楽しく読んでいます!他の作者さんだと自動的に続編がお気に入り登録されないのになぽりたん様だけ続きもすでにお気に入り登録されててびっくりしてます!何か設定があるのでしょうか? (2021年9月18日 16時) (レス) id: 25c8e9c9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぽりたん | 作成日時:2021年9月18日 15時