その2 ページ10
*
「.....。」
「.....。」
沈黙が辛い。
西川選手が好きなんであろう歌手の音楽が流れていることだけが唯一の救いだ。
いつもはあんなに話してくるのに、
なにかしゃべってくださいよ?
そんな言葉は絶対に言わない。
だってそんなこと言ったら、まるで私が西川選手と話したいみたいでしょ?
そんな素直じゃない私は、雨のおかげで霞んで見える夜の札幌を眺めていた。
「なぁ、」
車に乗って、走り始めてから約15分。
やっと西川選手は口を開いた。
「はい?」
やっと話してくれた、なんて喜ぶ気持ちは抑えて、なるべくいつも通りのテンションで答える。
...あれ?
なんで私、嬉しいなんて思ってるの?
車は信号に捕まり、停止。
ずっと前を向いていた西川選手はこちらを向いて、さらに口を開く。
「俺のことさ、そんなに嫌い?」
だから嫌いじゃなくて...、
「っ...、」
嫌いじゃなくて、苦手なだけです。
そう言おうと思ったのに、
思わず呑み込んでしまった。
それは、
私を見つめる西川選手の目は凄く真剣で、
いつものおちゃらけた雰囲気は一切なかったから。
「どうやったら俺のこと、見てくれるん?」
何も答えられない私に西川選手は続ける。
どうしたらって...。
そんなこと言われても分からない。
信号は青になり車は再び走り出す。
「ごめん、変なこと聞いたな。」
そう言ってはにかむ西川選手の顔は、普段のものに戻っていた。
「...いえ、大丈夫です」
変だ。今日の西川選手はおかしい。
でも、
そんな西川選手といるこの空間を嫌と感じていない私はもっとおかしい。
*
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梓(プロフ) - みやさん» 死ぬほど行きたかったんですけど、用事があって行けないんですー!スカパーにも入ってないので、色々と諦め気味です(笑) (2017年11月23日 20時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 了解です!ファンフェス近いですねー!梓さんは見に行かれますか? ちなみに私はGYAORAで見ます(笑) (2017年11月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - みやさん» 選手の名前言っちゃうと住んでるとこ特定されちゃうんで言えないです(笑)他県に住んでいるんですか?北海道寒いけど良いとこなんでぜひ来てみてください!ついでに、札幌ドームで野球見ていってください!(笑) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 誰とあったんですか〜?(笑) 羨ましい! 北海道にいきたい(笑) (2017年11月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月30日 22時