その2 ページ32
*
「...A?どうしたん?もうみんな帰ったやろ」
「それはこっちのセリフですよ」
私がそう言えば、西川選手は困ったように笑う。
「俺は...まぁ、体力作り」
「なに言ってるんですか。...駄目ですよ、ちゃんと休まなきゃ。体壊しちゃいます」
「いや、大丈夫やから」
私の忠告なんかは無視をして、再び筋トレを始める西川選手。
「ずっと一人でやってたんですか?」
「そう。てか、Aこそ早めに帰った方がええんやない?明日福岡行くし」
「じゃあ西川選手も帰りましょ?」
「俺はあと30分いる」
私には帰れと言うくせに、自分は残ると言う。なんともチグハグな言葉に顔を少ししかめてしまった。
「本当に駄目ですって。自分で思ってるより疲れてるんですから。それに西川選手だって明日早いんですよ?」
「ええの」
「なんでですか?」
「俺は選手やし男やから」
これには、さすがにカチンときた。
普段男性ばっかの職場にいる私にとって、この"お前は女なんだから"的な発言には敏感なのだ。
無言で近くのベンチに腰かける。
西川選手は不思議そうな顔でこちらを見てくる。
「なにしてるん?」
「私も残ります」
「はぁ?」
「だから西川選手が帰るまでここに居ます」
「.....Aって意外と頑固なんやな」
「それは西川選手もじゃないですか」
三秒間の沈黙の後、どちらからともなくプッと吹き出す。
試合が終わってすぐの雰囲気はあんなに悪かったのに、
今、ここに流れているものは思いの外穏やかだった。
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梓(プロフ) - みやさん» 死ぬほど行きたかったんですけど、用事があって行けないんですー!スカパーにも入ってないので、色々と諦め気味です(笑) (2017年11月23日 20時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 了解です!ファンフェス近いですねー!梓さんは見に行かれますか? ちなみに私はGYAORAで見ます(笑) (2017年11月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - みやさん» 選手の名前言っちゃうと住んでるとこ特定されちゃうんで言えないです(笑)他県に住んでいるんですか?北海道寒いけど良いとこなんでぜひ来てみてください!ついでに、札幌ドームで野球見ていってください!(笑) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 誰とあったんですか〜?(笑) 羨ましい! 北海道にいきたい(笑) (2017年11月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月30日 22時