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「.....あの、Aさん?聞いてます?」
必死に状況を整理しようとするけれど、それができたらこんなに苦労はしていない。多分、今の私の顔は凄く間抜けだったと思う。
「よく意味が分からないので、...もう一回お願いします」
「だから...好きです」
「っ.....、」
「気づいたらAさんのこと好きになってました」
「.....だめです」
最初に振りだした言葉はこれで、それはとても渇いていた。
「だめです、私なんかじゃ。石川さんにはもっと良い人いますからっ」
あぁ、なに言ってるんだろ。私...。
少しずつ涙が滲んでいくのがわかる。
「私なんかとろいし、馬鹿だし、それに.....私じゃ...んむっ!」
突然石川さんの手が私の口を塞ぐ。
もう視界は涙でゆらゆらと滲んでいて、石川さんの表情はよく分からない。
「私なんか、とか言わないでください」
石川さんは静かな声でそう言った。
そして、その長い指で私の涙を掬う。
彼の吸い込まれそうな瞳を見てしまうと、思わず俯いてしまうわけで。そこにまた一つ雫が落ちた。
「A、ちゃんとこっち見て」
けれど、石川さんは私の顔をグッと持ち上げ、目を合わせる。
「俺はそんなAのことが好きになったんです」
ふぅと一つ息を吐いて、石川さんは口を開く。
「俺と付き合ってくれませんか?」
そう微笑む石川さんは、やっぱり、どうしようもなく格好よくて...。
もう、そんなの答えは一つしかない。
「お願いしますっ」
そう言った私の声はカッスカスで、最後の方なんて声になってたかも微妙なとこだった。
せっかく石川さんが拭ってくれた涙がまた溢れてきて。
「もう泣かないでください」
「.....泣いてないです」
「A、」
名前を呼ばれて顔を向ければ...、
「.....んっ」
それは石川さんからのキス。
初キスの味は、
甘くて、切なくて、少しだけしょっぱかった。
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梓(プロフ) - 如月明日香さん» ありがとうございますー!如月さんのコメントはどれも嬉しいものばかりですよ(_ _)ちょくのことが好きになってくれたのなら嬉しいです(笑)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 雛*さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです(^^;番外編の方もよろしくお願いします! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
如月明日香(プロフ) - 完結〜〜!おめでとうございます! このお話で私は石川選手が好きになり、なんと実際に石川選手のタオルも買ったんです〜〜! それくらい、引き込まれる作品で、石川選手の魅力が詰まったお話でしたっ! 本当にこのお話大好きです!! 本当におめでとうございます! (2017年12月5日 0時) (レス) id: eed9e6c20a (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - はぁ……完結お疲れ様でした(;;) 終始ニヤニヤしっぱなしでした……´`* 素敵なお話をありがとうございました〜〜!! 番外編も楽しみにしてます◎ (2017年12月5日 0時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - わ、わ、わ…! ほんとですか(;;) ふ、ファンだなんて恐れ多いです;;ありがとうございます´`* ちょくくんファンなので、ちょくくんの作品があるのが嬉しくて…!*゚ これからも楽しみにしてますね〜◎ (2017年12月1日 14時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月14日 17時