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「なぁ、これなにしてるんー?」
「坂田跳ぶのやめろ。目立つだろ」
「だって見えへんねんもん!」
初めて見る昼見世に、興味津々の坂田は俺の隣でその不思議な儀式を一目見ようとぴょんぴょんと跳ねる。
志麻とセンラは腕を組みながら冷静に、その様子を見ていた。
親父の「もっと世間を知るべきだ」という一言で半強制的に連れてこられた吉原の昼見世。
正直、俺らの後継争いに必要なのは実力だけで女は二の次だ。実力があるという前提で必要になるのが、いかに強い家柄の女と結婚するか。
実を言うと、俺は昼見世に来るのは2回目だったりする。数年前に1度、親父と来たことがある。
「これなにしてるんー?」
「吉原に遊びに来る人が、遊女を品定めしてんねん」
「まーしぃ興味ないん?」
「わざわざここに来んくても女はいくらでもおるやろ」
俺らには縁のないとこやね、というセンラの一言で踵を返そうとした俺の目に、1人の女が映った。
バチッと目が合う。
相手も気がついたのか、少し目を合わせてからすぐに下を向いた。
「どうしたんです?うらたん、」
「んーいいや?…帰ろうぜ」
「誰か殺陣稽古付けてや!」
「いいよ、やったるわ」
「ありがとうまーしぃ!」
桜並木を4人並んで歩く。
さっき合ったあの切ない瞳が、何故か俺を離してくれなかった。ほかの遊女達とは違った、また別の意味を持っているようなあの瞳。
どこかで、見たような……そんな懐かしさを感じさせる。
ひらりと空に舞う花びらが、春を告げていた。
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…… 意味:常に続いて絶えないこと。ずっと続いていること。
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透(プロフ) - 牡丹一華。@坂田家さん» はじめまして。ありがとうございます…!そのお言葉が一番の褒め言葉です( ; ; )ご期待に添えるよう執筆頑張りますね◎ぜひこれからも読んでくださると嬉しいです!よろしくお願い致します (2020年1月11日 8時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華。@坂田家 - 夜分遅くに失礼します。作品を読ませていただきました。この作品のページが進めば進むほどのめり込みました。続編も読ませていただきますね。 (2020年1月11日 4時) (レス) id: ca03128f9d (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 舶(ハク)@月ノ山天文部さん» ありがとうございます!!書き方いろいろ工夫しながら書いてるので褒めてもらえてめちゃくちゃ嬉しいです(///)更新頑張りますね!これからもよろしくお願い致します!! (2019年5月16日 23時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
舶(ハク)@月ノ山天文部(プロフ) - 誤字すみません……すごきではなくすごくです…… (2019年5月15日 1時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
舶(ハク)@月ノ山天文部(プロフ) - お話すごく好きです!うらたさんかっこいい……更新楽しみに待っています、頑張ってください!あと書き方すごき上手くてとても読みやすいです(*´ω`*) (2019年5月15日 1時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:透 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2019年4月27日 0時