29 ページ33
中也はそのまま休みもせず、仕事をしていた。が、限界はくるもの。目はほぼ開いておらず、こくりこくりと揺れている。
「んっ…」
「!A?」
「ちゅ、や…さん…?」
中也はベッドに駆け寄り、Aの顔色を見る。悪くなく、胸の動きから見て、呼吸も安定している。
「調子はどうだ?」
「大丈夫です。…その首…!わ、私!なんて事を!」
「急に起き上がるんじゃねえ!」
「首の傷、本当にすみません!!」
Aは勢いよく頭を下げる。が、中也はそれを止める。かすり傷だから大丈夫だと言って。
「手前が無事なら、それでいいンだよ」
「…ありがとうございます。あの、ここ、中也さんのお部屋…ですよね?私、どうして…」
「あァ、手前の首元を殴って気絶させて、ここに運んだ。一人でいたら、また何かあった時大変だからな」
「何から何まですみません」
「気にすんな」
中也は歯を出してニッと笑い、くしゃりとAの頭を撫でる。Aもつられて、笑った。
「(最初はよくわかんねぇ奴だったが…。こう話したり笑ったりしたのを見ると、普通に…)可愛いじゃねぇか」
「え?」
「ん?あー…何でもね」
思わず口から出ちまったと、中也は焦る。ちらっとAを見ると、俯いている。若干耳が赤い。
「(何で急に少女漫画っぽいシーンになるんだよ!)と、とりあえず寝ろ!まだ夜中だ!」
「ちゅ、中也さんは?もうこんな時間ですよ?」
中也は頭を掻きながら苦笑する。
「まだ資料やら報告書やら残ってんだよ。気にしないでさっさと寝ろ」
「わ、私、もう部屋に」
「ダメだ。何かあったらどうする気だ?」
「じゃ、じゃあ、私はソファで…」
「俺のこの部屋は、ソファは置いてねぇ。自宅にならあるが」
Aはどうしようと言っている。中也は溜息をつき、狭い脱衣場へ向かう。数秒で出てきたと思えば、ラフな格好で出てきた。
「お、おやすみになるんですよね?やっぱり部屋に戻ります!もう大丈夫ですし…」
「待て。姐さんに頼むって言われたんだ。帰せるかよ。こっちこい」
「…え?」
中也はベッドの半分を空け、そこをぽんぽんと叩いている。つまり…
「一緒に寝る…ということですか…?」
「それ以外にねえだろ」
(なんで急に!?)
(……俺は何を言ってるんだ)
745人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時