赤井さん家の異能力者【名探偵コナン】【文豪ストレイドッグス】

episode64 ページ19

『あれ、降谷さんまだ来てないんですね。』


私は公園をぐるっと見回して、少し遠くの太宰さんに伝える。
ゆっくりと自分のペースで歩いてきた太宰さんは「そうみたいだね」と答え、近くのベンチに座った。


私も太宰さんの隣に座る。


『やばー、快晴ですよ。』


空を見上げ、思わず出た言葉はかなりアホっぽかった。


『鳥一匹も飛んでない。』


私は足をズササ、と音と砂埃を立てて伸ばす。


『身長、やっぱ小さいですよね。
姉はあんなに大きいのに。
ま！気にしてないですけどね〜。』


それから会話はなかった。
風が流れる音と、木が揺れる音。


何となく隣を見ると太宰さんも空を見ていた。


でもそこから話題を広げる気はなかった。
いつもの事だ。
この空白が苦手で話題を無理やり広げようとする人とは多分気が合わない。
無があってもいいじゃんか。


それからしばらくして、


「にしても、空は広いね。」


と太宰さんは急に口を開く。


『ですね。海みたい。』

「海を見た時は空みたいって言うのかい？」

『多分言いますね。
空みたいな広さだ、って。』


君は相変わらず変わっているね、そう言われる気がした。


「A、君は相変わらず変わっているね。」

『あ、言うと思ったことそのまま言った。』


私は
「でも太宰さんには言われたくない」
と言おうと口を開く。
しかし、


「君もどうせ、私には言われたくない、って言うんじゃない？」

『当たりです。ビックリしました。』

「すみません！遅れました！！」


そこに降谷さんは砂を蹴る音と共に走ってきた。
私たちは多分同時に起き上がり、ベンチから立ち上がる。


『お疲れ様です、さっきまで仕事してたんですね…。』

「どうしてそれを…？」

『だって、スーツが公安で着てたやつですもん。
1回着替えなくていいんですか？
身バレはしないと思うけど。』


そう言うと、「それもお願いしたくて…」と降谷さんは言った。


『私はもちろんいいですよ。迷惑、これからかけるんで。』

「私も勿論。」


太宰さんは柔らかく言う。
こういう物腰の柔らかさと、謎に与える信頼感が多分世渡りの天才なんだろうな、とかじんわりと思う。


「すみません、ちょっと車で着替えてきます。」


と降谷さんはまた走り出す。


『公務員は大変だ…私あれにはなれない…絶対。』


そう俯き首を振った。


『有能な能力あっても嫌だなぁ…。自由奔放野放図でいいっす。』

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