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episode62 ページ17

「あれ?この前の場所じゃないのかい?」


ポアロを過ぎたあたりで、太宰さんが私の足を止めた。


『今日は指定された公園です。』

「公園?」

『はい。この先をしばらーく歩いたくらいにある。』


太宰さんは「ふぅーん」と口を閉じ、歩き出した。
にしても暑い。
まだ8時頃なのに暑い。

上着のチャックを開け、中のTシャツの襟をバフバフしながら歩く。


「君の頬の傷、まだ治らないのかい?」


と太宰さんが頬のガーゼに指を指す。
私は「治ったんですけど消えないっすね」とその指を掴んだ。


「あれ?Aじゃないか!」


突然後ろからかけられる声。
それは口調だけでも分かる真純だった。


『あ、真純やっほー!』

「…?そちらの方は?」


と真純が手のひらを太宰さんに向ける。


『私の上司。これから仕事なんよ。
ちなみに同じ苗字ね。あと、変な人だから関わらない方がいいよ。』

「A、一言余計。」


そう太宰さんは言った後、大袈裟に溜息をつき、



「これは部下が失礼なことを…。」


とか言って、わざとらしく紳士的なお辞儀をする太宰さんの頭を「それ自分で言うんかい」と軽く叩く。


「ははは…楽しそうでなによりだよ…。」

『ほらー!私が街でできた大切な友人が引いたじゃないですかー!
太宰さんのせいですからね!酷い!』

「酷い濡れ衣だなぁ。
そんなことよりも、お嬢さん、もし良ければ私と一緒に」



心中でも、と言葉を続けそうな太宰さんの足を踏む。



「痛いじゃないか!!」

『私の友人を誘わないで下さい!』

「仲、良いんですね。お2人とも。」



私は食い気味にその言葉を否定をした。
それから、2人は互いに思い出したかのようにフルネームを名乗った。

そして少しだけ話して、「ごめん行かないと」と時計を見て真純に告げ、無理やり離れ、小さくため息をつく。

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from bathroom(プロフ) - ありしゅさん» コメントありがとうございます!!ウアアアアアア気がついて下さりありがとうございます…私も好きな曲で誰か気がついてくれたらな、とかしんどい人いたら救われねえかなみたいな感覚でちょびちょび入れてみたので気がついて貰えて嬉しいです…!これからも頑張ります! (2021年10月24日 7時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - 私の好きな曲の歌詞がいきなり出てきて吃驚しました!これからも応援しています! (2021年10月17日 9時) (レス) id: a9a93c108b (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» 語彙力が酷く低い返信本当に申し訳ないです… (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» ありがとうございます!!(´;ω;`) それに好きだなんて言葉本当に嬉しいです…これからも応援よろしくお願いします、本当にありがとうございます…!! (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
桜茶(プロフ) - 合格おめでとうございます!bathroomさんの作品はどれも好きなのでこれからも楽しみにしています。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 72bb70d964 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:from bathroom | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2020年6月14日 18時

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