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標的6 唐突 ページ6

あれからまた2年がすぎた。依然としてひそひそ話は絶え間無くされるけど、僕は二人から愛情をいっぱい受けてすくすくと育った。そしてある日父さんは何の前触れもなくトンファーというなんとも物騒な武器をくれた。


「何これ」

「お前の守りたいものを手助けしてくれる物だ。大切にしろよ?」

「…うん」


なぜ今渡すのか、なぜ僕にこれが必要だと思ったのか。全く分からなかったけど、大切に扱わなければいけないと僕の勘が言っていた。

そして次の日。僕は早くトンファーに慣れようと、朝からずっとトンファーをふりまくっていた。

すると一本の電話が入った。普段ならすぐに母さんが取るはずなのに、この日は誰も取らなかった。
そういや昨日の夜、二人で一緒に出掛けていたっけ…なんて思い出し、急いで受話器をとった。


『もしもし、恭弥君かな?』

「はい。僕に何かようですか?」

『あのね、落ち着いて聞いてほしいんだけど』

「……?」



『君のご両親が亡くなったんだ』



それは、あまりにも無慈悲で、非現実で、信じ難い言葉だった。


「亡くな、った………?」

『詳しいことは病院で話すよ。そっちに車を寄こすからそれで来てね』


それからのことはあまり覚えていない。いつの間にか僕は霊安室にいて、何故か二人は布を被せられていて、近くにいた父さんの部下らしき人に話を聞いて、それで、それでそれでそれで……


僕は何の言葉も出なかった。涙も出なかった。二人は目の前にいるはずなのに、もうここには居ないだなんて到底信じられなかった。

昨日まで普通に話してたのに、あっさりと死んでしまうなんて、人間とはこうも簡単に死ぬものだったっけ。

部下らしき人が話すには、二人は僕のために死んだらしい。最近敵対する組合が、父さんに息子の僕がいることを知り、脅しに使ったようだ。そこで両親は僕に手を出さない条件で話し合いを持ちかけ、昨日の晩出掛けたがあっさりと敵は裏切り、殺されたらしい。


馬鹿な話だ。僕のために死ぬなんて………ありえない……


僕なんて、無愛想で生意気な餓鬼なのに。


なんで、なんで…



心の中に大きな穴が空いたような気がした。

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設定タグ:成り代わり , REBORN , 転生   
作品ジャンル:アニメ
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時

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