標的5 父は ページ5
最近分かったことがある。分かったというか気づいてしまったというか。
僕の父さんはもしかするとヤのつく職業ではないかと…
本人の口から聞いたわけではないけど、そう思わされる節々が多々ある。
まず、この家。この家は古き良き日本家屋だ。それも10LDKの平屋。どんだけでかいと思ってんだ。だから稼ぎのいい仕事でもしているんだと思った。
次は怪我。時々顔やお腹にキズをつけて帰ってくる。だからきっと土木関係の仕事でもしているんだろうと思った。
その次は父さんの部屋。入っちゃ駄目だと言われていたけど、好奇心に勝てず入ってしまった時、部屋にはありとあらゆる武器がおいていた。
鈍器、刃物、拳銃、日本刀やらとにかくいっぱいあった。そのときはなんてマニアックな趣味だろうと思ってた。
けれど、この前聞いてしまった。いつも家で遊ぶ僕を見兼ねて、母さんに公園へと連れて行かれた時だった。
「あら、あの子誰かしら。綺麗な子ねえ」
「確か雲雀さんちの一人息子らしいわよ」
「雲雀さんって…誰かしら?」
「あぁ、貴方最近越して来たばかりだから知らないのも無理ないわね。
雲雀さんってのはここらじゃ有名な組合の人よ。
雲雀組とかなんとかを治めてるとか…ちょっと怖いわよねえ…」
ごく自然なママ友さんの会話だった。だけど確かに話題になったのは僕のことで。
ちらりと母さんの顔を見れば、いつものように僕ににこりと笑いかけてくれたけど、握っていた右手が今までよりも強く握られた。
もうこれは確信のほかなかった。だから僕は父さんに聞いた。ちゃんと父さんの口から聞きたかった。
「とうさんはなんのしごとをしてるの」
「…そうだなあ。この町を守ってるんだよ父さんは」
明らかにその一言は決定打だった。
「まもる?なにから?」
「悪いやつらに飲み込まれないようにさ。この町を乱す異分子なんて不必要だからね」
「なんでまもるの?」
「この町が好きだからだよ。…いいかい恭弥、雲雀家にはとある家訓がある。
『守りたいものには死力を尽くせ』ってね。
だから、雲雀家の血が流れてる恭弥にもいずれ守りたいものが出来るはずだ。その時はこの家訓を思い出すんだよ…ってまだ恭弥には難しい話だったかな」
僕の頭は不器用に撫でながらにこりと笑う父さんは、そんな怖い職業の人になんて見えなくて、心からこの町が好きなんだと納得してしまった。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます！とても励みになります…！ (2018年4月10日 7時) (
レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです！自分のペースで更新頑張ってください！ (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2013年8月30日 0時
