標的34 助け ページ39
数えるのをとっくにやめてしまった何回目かの引越しを終えてすぐに僕達は少し困ったことになっていました。
ほかのファミリーの使いっ走りをしてお金を稼いでいた千種が、ファミリーの抗争に巻き込まれて流れ弾に当たってしまい怪我をしてしまったのです。
闇医者に見せようにも、まだここいらへは来たばかりで信用もありません。紹介してくれないでしょうね。
止血の処置を施しますが、このままでは悪化していくばかりなのは見えています。さすがに幻術では怪我の治療はできません。
危険ではありますがもう病院に運んでしまおうかと思い、犬を引き連れ千種をおぶりながら歩いているときでした。
「おいっお前ら大丈夫か!」
ファミリーの抗争があったばかりで、怪我をしている人に声をかけるなんて普通じゃ有り得ません。
その声に驚きながらも振り返ると、僕らよりも少し年上の少年でした。怪我をしている年下の子供を見ていられなくなった、というところでしょうか。あまりにも無防備な考えに呆れてしまいます。
「どうかお気になさらず」
「何言ってんだ!この傷…銃痕か。着いてこい、うちで手当してやる」
「それはありがたい申し出ですが、そちらは?」
「俺は今バトってるファミリーとはちがうシマの者だ。おそらくお前らは巻き込まれたんだろう?うちのボスは、困った人を見捨てないっていうポリシーがあってな。お前らのこと助けられると思う」
どうにも信用できない。実際犬と千種はこの男に対し警戒している様子ですね。弱ったとこを漬け込んでまたエストラーネオの二の舞になったりするかもしれません。それは避けないと。しかし……
「僕らに危害を加えないと誓えますか」
「骸さんっ、着いて行くんれすか!」
「ここには頼れる人もいませんしね」
「ああ。もちろんだ。俺たちはファミリーと名乗ってはいるが、自警団のようなものだ。殺しは主にはしてないから安心しろ」
千種も段々しんどそうにしてますし、ここは助けられて見ましょうか。以前とは違い僕には六道輪廻という大きな力がありますしね。いざとなれば幻術で脱出もできるでしょう。
*
いやなんというか…彼らは完全にシロでした。
声をかけてきた男はランチアと名乗り、彼のボスはランチアの話を聞くとすぐに千種の治療を施してくれて、回復するまでうちで見てやるとまで。
構成員からきな臭い匂いはしませんし、お言葉に甘えて少しの間厄介になることにしました。
もちろん油断するつもりはありませんけどね。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時