標的25 転落 ページ28
少し、時間が欲しいです。
そう言って、私は自分の部屋に篭もりました。
マフィア。日本のヤクザよりも厄介だと認識しています。法に引っかかるありとあらゆる物事を仕事とする者達…。それがまさか自分の親だなんて。
…両親の手が赤に染まることはざらにあるのかもしれません。
人の命の灯火が両親の手で消されているとしたら、それは許せません。
1度死んだ身としては、死とは悲しいものですから。死は全てを失うのです。人間関係も、肉体も、自分という存在も。死を快く受け入れる人など少ないでしょう。そんな死を、同じ人間の手で行うことは、私の倫理観上許されざる行為なのです。
故に許せませんが、きっと両親にも色々思うことはあると思うのです。ですがいくら両親の意思を汲み取ったとしても、私自身は受け入れることは到底出来そうにありません。
…お母さんは私のことを愛していると言いました。その言葉が嘘ではないことぐらいわかっています。私だって両親が好きです。それは変わりようのない事実です。
受け入れなきゃと思うからダメなのでしょうか。
…受け入れなくてもいいのかもしれません。
言ってしまえば、親の仕事と私は全て無関係なことなのです。ありとあらゆる罪を犯した両親を私は直接的には『知らない』のです。
きっと受け入れなくても、両親は変わらずに私を愛してくれる。ならばそれでも…
＿＿＿
夕飯ができたと言うお母さんの声もおざなりに、私はずっと考え込んでいました。
ふと気づけば、夜になっていました。きっとお父さんも帰って来ていることでしょう。ですが、私は2人にどんな風に接したらいいのかわかりませんでした。
ですが、このままこの問題を放っておくこともできないので、やはり1度2人と話した方がいいですよね。
私は意を決して、1階のリビングへと向かう事にしました。
階段を降りていると、鼻に嗅ぎなれない異様な臭いがしてきました。つーんとクるような臭い。これは一体何の臭いでしょうか。
私は、まさか両親になにかあったんじゃないかと思って、急いでリビングへと駆けました。
するとリビングのドアが少し開いていました。
お母さんお父さんと声をあげようとしたとき、その隙間から見えてしまったのです。
真っ赤な血の海が、ドアの向こうに広がっているのを。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます！とても励みになります…！ (2018年4月10日 7時) (
レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです！自分のペースで更新頑張ってください！ (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2013年8月30日 0時
