標的21 もう一つの始まり ページ24
遠くの方で、声が聞こえます。日本語…じゃない。かといって英語…でもない。よくわかりませんが、それは外国語で、同じ単語が繰り返し繰り返し聞こえます。
なんだかだんだんと自分の名前が呼ばれているような気がしてきました。
暫くするとその遠かった話声が耳に近づいてきます。
今、行きますね。
___
目を開けば、綺麗な藍色の髪をした外国人女性と黒髪の外国人男性がにこやかに微笑んでいました。
えっと、どういう状況ですか?
二人の口から、訳のわからない言葉が飛び交います。でも、ものすごく暖かな会話だということはわかります。だって、二人とも穏やかな表情で私を見ながら話すんですから。
どなたですか。そう声を出そうとすれば、口から出るのはあうーだのうあーだの母音。
言語機能が退化したのでしょうか?理由はわかりませんが。
ふっとなんの気もなく手を上げて見れば、目に入るそれは赤子の小さな手。
え? 赤ん坊? ……ま、まさか、母音しか喋れないのは私が退化したせいですか?!
…いえ、退化というより転生の方が近いかもしれません。ちらと見える藍色の自分の髪が、この女性とそっくりですし。ということはこの二人がパパママですか…。
「Luca. Il nostro angelo」
「Luca!Luca!Luca!evviva!!!」
なんだかパパ(?)がひっきりなしに、ルカと言ってますけど、もしかしてそれがここでの私の名前ですかね?
「Luke diventerà un buon uomo nel futuro」
「Penso così anche」
だ、だめです。まじで何言ってるかわかりません…
これから外国語ちゃんと覚えられますかね…
いや、そんな弱音を吐いてられません!今はこのなんでも吸収する赤子の脳に頼って、これからはルカとして、頑張って生きてみせます!
あっ そういえばAはどこにいるんでしょう? きっとAも転生しているでしょうから、会えるとは思いますが… 果たしてお互いがお互いだとわかるのかは、甚だ不安ですね。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時