標的18 邂逅 ページ21
今日は久々の休日。
最近やたらと問題を増やすあの男のせいもあって休日出勤…いや休日出校?していて、まともな休息をここ数週間取れていなかった。
並盛公園に咲く立派な桜の花見にもいけず、すっかり新緑の季節となってしまった。少しどころか大いに残念だけど、仕方ない。緑となった桜も、また風情があっていいもの。
僕は春とも初夏とも取れるような快晴の休日、公園にへと足を運んだ。
子供は遊具で遊び、ランニングする人や散歩する人、椅子に座って本を読んだり、恋人同士の会話を楽しんだりする人、皆思い思いの休日を過ごしている。
僕は丁度手頃なベンチに腰をかけた。
こういうのどかな日常が今の僕には不足していたのかもしれない。
空を見上げれば、葉桜の梢の隙間から水色の空の中を白い雲がゆったりと流れている。
なんて穏やかな。僕はそののどかさにまどろみ、ついうたた寝をしてしまった。
いつもならこんな沢山音がする場所で居眠りなんてありえないんだけど… 相当僕も疲れていたんだと思う。
目を覚ませば、空は水色から橙色に変わっていた。
寝すぎてしまった。早く帰らないと、と腰を浮かせた時、
視界の端にやけに黄色いものが執拗に動いている。
なんだかそれが妙にウザくて視線を向けると、金髪の外国人が水飲み場に縛られて暴れていた。
なんか鞭みたいなもので巻かれてるけど、もしかしてプレイ?
なんて恥ずかしい。そういうのは人目のつかないところでやるってもんでしょう。
「ちょっと、君。そういうの家でやって。迷惑」
「! 違う!これは絡まったんだよ!」
「絡まった……?」
にしては随分綺麗な亀甲縛りだけど。
「と、とにかく助けてくれよ!」
「自分でなんとかしなよ」
「それがもう5時間くらいずっとこうなんだ!」
え、僕がこの公園に来た時にはもうこの状態だった?なんなのこの男
「はあ……ほんと目障りだから」
「! grazie!」
___
「いやー助かった!ありがとう!久々のニッポンでつい浮かれちまってな〜」
「変態」
「なっ!俺はHENTAIとは違うぜ!ピッツァ大好きイタリア人だ!」
「あっそ」
なにその自己紹介と心の中で突っ込んでいると
「お前は優しいんだな」
優しそうな顔でイタリア人はそう言った。
「…優しいとか言われたくない」
優しいと思われたくない。実に屈辱的だ。優しい人間なんて反吐が出る。
呑気そうな顔してそう告げるイタリア人が僕は心底憎たらしかった。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時