標的11 威嚇 ページ12
多目的教室の扉を開けば、むーんとした煙草の臭いと、いかにも道を踏み外しましたという不良ばかりが立っていた。金髪やら赤髪、果てには白髪の野郎まで。そして皆、腕に風紀と書かれた腕章を付けている。
そう、彼らはこの並盛中学校の風紀委員なのだ。風紀委員とは普通、ルールや秩序を保つためのものだと言うのに、彼らがああでは示しがつかないと言うことに気付いているんだろうか。あ、でも案外入学式が始まる前からここに登校してるから真面目な奴らなのかもしれない。
「ああ?誰がサルだって?ふざけてんのかゴルァ」
「誰だか知らねえが喧嘩売ってんのかあ?このチビがよお!!」
はあ、ごちゃごちゃうるさいな。短気すぎるだろう。まあ、僕も人のこと言えたもんじゃないけど。
「君たちに用はないよ。僕はボス猿に会いに来たんだ」
「ってめ!飛鳥さんをサル呼ばわりしてんじゃねえよ!!」
「不敬罪でこいつぶっ飛ばしていいっすか飛鳥さん!?」
彼らの怒号が教室をこだまする中、奥の方の大きなソファーに座ったとある人物と目があった。黒髪で学ランを若干着崩しただけの男は、不良達とはまるで違うようだった。冷静沈着、という言葉が似合う男だ。きっとこの男がボスザルだろう。
男が立つと、一瞬にして外野は静かになる。成る程、これは随分と調教している。きっとすぐに不良達が手を出して来なかったのはこの男のせいだろう。この男が居るお陰で今まで牛耳れたってわけか。
「新入生くん、俺に何の用だ?」
「……世代交代の時が来たんだ。僕が風紀委員長の座を貰うよ」
「なるほどね。OKやっちゃって」
すると、男の言葉を期に次々と不良達が襲いかかってくる。むさい、きもい、群れるな。
僕は無我夢中にトンファーをふるった。
5分もすれば、僕は屍の上。数よりも僕の力が勝っていたようだ。
すると突然パチパチと拍手が聞こえた。音の方を振り返れば男は心底愉快そうに笑っていた。
「いやあ、すごいなお前。20人を5分で倒すなんて」
「御託はいいから君もかかってきなよ」
「連れないなあ。まあいいぜ。そういう奴、嫌いじゃない!」
そう言うと、男は何かを取り出して僕に殴りかかった。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時