標的2 平和？ ページ2
いつもと同じ帰り道。いつもと同じ風景。
いつもと同じで私の隣にいる美咲。変わり映えしない日常。あぁ、なんて平和なんだろう。
「…あのA?聞いてます?」
「え、聞いてないけど?」
「……なんでそう誇らしげに言うんですか?!そこは貴方に非があるんですから謝っ「うるさい」問答無用!!」
しくしくとわざとらしく言いながら、私の腕に縋り付いてくるのは幼馴染の美咲。
美咲とは先月からルームシェアをしていて、今は夜作る夕飯の具材を買っていたところだった。
……しっかしこいつ、すぐ調子に乗り出すのでとりあえず腹パンをお見舞いしてやる。
「っAが…通常運転すぎて…ツライです…」
「ほら早く帰るよ。寒いでしょ?」
「…!AがAが…デ、デレっ!!」
「その袋に入ってる野菜達が」
「なにその野菜への気遣いぃ…」
なんて他愛もない会話をしつつ、歩道橋を上る。ちらりと下の道路を見ると、なぜだかいつもより一段と車の交通量が少なかった。
ふいにビュッと強い風が吹いた。袋からスーパーで貰ったチラシが、空中へと舞い上がる。
私はつい反射で、チラシを掴みにかかった。だけどそれが間違いだった。
私は歩道橋の柵から乗り出すようにして手を伸ばし、なんとかチラシを掴んだが、ふわりと浮遊感。
「っA!!」
何故か世界はスローモーションで見えた。
焦ったような顔で私に手を伸ばしてくれる美咲。しかし重力にはどうあがいても逆らえず、掴めない。
あと少し、あと少し、…………あ、掴んだ。
美咲は私の手を掴むと、にっこりと微笑んだ。
私も釣られて微笑み返す。
二人とも空中にいるという事を忘れて。
ぐしゃ
時間とは無情に非情なもので、歩道橋から地面に叩きつけられるのは一瞬だった。
冒頭で言った"平和"とはこんなにもあっさりと壊れるものだったろうか。
それに答えてくれる者などもういなかった。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます！とても励みになります…！ (2018年4月10日 7時) (
レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです！自分のペースで更新頑張ってください！ (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2013年8月30日 0時
