トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ7)

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黒に近い茶髪はふんわりとセンター分けされていて、そこから見える瞳はお人形さんのように丸くて光っている。

彼が小瀧くんだとすぐに分かった。

「はい」

「よかった！濵田さんにお迎え頼まれて」

くしゃっと笑う顔はあどけなくてこちらまで笑ってしまいそう。

「背が高いんですね」

「へへっ、184あります」

褒めると嬉しそうに笑う。うわあ、これは心惹かれるなあ。

「さっ、行きましょ。すぐそこなんでね」

そう言って小瀧くんは大きな傘を広げた。なんと初対面から相合傘をさせるつもりらしい。策士濵田め。

そんな私の気持ちに気づいたのか、小瀧くんは申し訳なさそうに傘の中で大きな身体を縮めた。

「なんかすいませんね？濵田さんが傘一本しか持ってないって言うから」

「大丈夫です。小瀧さんこそ、濡れないようにして下さいね」

「濵田さん、もう僕の名前言うてるんですか？」

「新人バイトの子がめちゃイケメンって言ってました」

「へぇ〜、言うやん」

にやにや笑う横顔から、少しだけ素の彼が見えた気がした。

「Aさんのことも言うてましたよ」

「へ！何を？」

「可愛らしいお姉さん来はるでーって」

「えー、濵田さん何言ってんの」

「さっき会った時、濵田さんの言う通りやーって思いましたけどね。僕は」

小瀧くんの言葉に顔がじわじわと熱くなる。この子、慣れてる…。